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東急不動産「未来シェアリング」スタート 街の価値を高めるプレイヤー集積目指す

2021.04.12 11:24

 現在、日本をリードする多くのIT企業が生まれ、成長した街である渋谷。近年はITベンチャーの聖地として、ショッピングだけでなく屈指のオフィス街としても親しまれてきた。そして未来の渋谷を担う新たなベンチャーやスタートアップの集積を目指すプロジェクトがスタートした。

 東急不動産(東京都渋谷区)が4月6日、広域渋谷圏戦略の新コンセプトである「未来シェアリング」のスタートを発表した。多業種連携を皮切りにして、創業・起業・協業の場づくりを加速化していく。
 同社ではスタートアップエコシステム構築を目指して、スタートアップと100のサポートやビジネスの創出を行う「SHIBUYAスタートアップ100」プロジェクトに2017年から取り組み、企業共創活動に注力してきた。そのなかで「Plug and Play Shibuya powered by 東急不動産」や、スタートアップ共創施設「GUILD」を渋谷で展開。今年3月に活動目標として掲げていた100のチャレンジ実施を達成していた。
 新たに掲げた「未来シェアリング」第一弾では再開発が続く桜丘地区の次の開発予定エリアで、様々な企業と連携した事業開発のプラットフォームである「ニュートラル・イノベーション・ベース(NIB)」をコンソーシアム形式でスタートさせた。
 「NIB」では東急不動産の保有ビルを活動の場として提供し、革新的なエンターテインメント、食文化の育成、多世代間の学び、起業の促進、新たなビジョンへの投資、これまでにない働き方の実現など、業種や枠組みを超えた事業の誘致を行っていくとともに、事業成長の支援も展開する。
 渋谷未来デザインの金山淳吾エグゼクティブプロデューサーは「渋谷の中間地点にある桜丘が渋谷各エリアの文化の交流地点になっていると思います」としたうえで、「ここに新しい渋谷の魅力・価値をつくっていくプレイヤーを集めて、そのプレイヤーの活動が渋谷の価値、魅力を高めていく役割を担っていきたい」と話す。
 東急不動産都市事業ユニット都市事業本部長の鮫島泰洋執行役員は「街全体の価値向上と将来価値の共有を通じた全く新しい事業戦略への挑戦をスタートさせていきます」と語る。これが成功裏に進めば、都市間競争が激しくなることが予想されるなかで、渋谷エリアの価値を確固たるものにすることができそうだ。




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