週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
「(仮称)九段一丁目プロジェクト」の概要が明らかに
2021.06.14 15:57
東急不動産(東京都渋谷区)と鹿島建設(東京都港区)が推進している「旧九段会館」の一部保存・建替えプロジェクトの概要が発表された。
「(仮称)九段南一丁目プロジェクト」は、登録有形文化財である「旧九段会館」の一部を保存しつつ、敷地面積8765㎡、延床面積6万8108㎡、地下3階地上17階のビルに建替えるもの。竣工は2022年7月を予定している。
新たなビルは事務所、店舗、集会場、駐車場等を用途とする複合施設となる予定で、「旧九段会館」の保存部分は免震、新築部分は制震構造の採用により、官庁等の防災拠点となる建物と同程度の耐震性能を有する。
オフィスフロアでは「健康」、「安心・安全」をテーマに、アフターコロナにおいて都心部に求められる持続可能な新しい働きかたを実現し、SDGsへの貢献をはじめとする社会課題を解決する次世代型オフィスを提供する。ビル内に開業予定のシェアオフィスでは「Good Food, Good Job! 良い職は、良い食から」を合言葉に、コントラクトフードサービスを展開するモノサス(東京都渋谷区)の「ものさす社食研」と連携し、オフィスワーカーと地域に開かれた新コンセプトの「職域食堂」を設置する。生産者・料理人・オフィスワーカーの三方良しを実現すべく、SDGsを意識し、オフィスワーカーと共に生産から消費までを考えていく食堂を目指す。全国の農家から直接仕入れる産地直送のオーガニックな食材を中心に利用し、つくり手の想いを実感できる定食スタイルのコンフォートフードを提供する。
また、社員同士のコミュニケーション希薄化を解決するため、ランチタイムには食堂として、またその他の時間ではオフィスワーカー向けのラウンジとして運営。さらに、オフィステナントに対するフードサービスとして、ランチボックスやケータリングも提供する。
ビル内には、内科・皮膚科・歯科・耳鼻科、薬局などが集まるクリニックモールを設置し、オフィスワーカーの健康をサポートする。各クリニックでは、日常的な受診だけでなく新コンセプトの職域食堂と連携してオフィスワーカー自身の健康状態の見える化をサポート。クリニックからのアドバイスに基づき、健康的な食事・運動・睡眠を同物件内で実践することができ、働きながらこころと身体の健康改善を目指すことが可能。また、オフィスワーカー向けの各種健康セミナーの開催も企画予定。
屋上には、オフィスワーカー専用の緑豊かな「屋上庭園」を整備する。生物多様性に配慮し、周辺環境と合わせた植栽を配置するだけでなく、オフィスワーカーの仕事の合間のリフレッシュにも活用できる、健康家具を設置。簡単なストレッチや運動が可能。また、オフィスワーカー専用の「仮眠室」も設置し、これらを日常活動にうまく取り入れることで、健康的で生産性向上に結び付く働きかたを推進する。「オールジェンダートイレ」や「礼拝室」も整備し、入居企業のダイバーシティ経営の推進と、オフィスワーカーのこころの健康にも配慮がなされる。
感染症対策への取り組みとしては、混雑検知センサーの設置やエレベーター内の空気を深紫外線照射による除菌・消臭、自動でエレベーターが呼び出される仕組みを導入する等、3密(密閉・密集・密接)を避ける対策や、非接触・抗菌等の対策を講じる。
BCP対応としては、入居企業用の防災備蓄品(毛布や飲料水等)を5日分確保し、無償提供。テナント専有部には供給できる非常用電源(10VA/㎡)を120時間(5日間)分確保し、トイレやエレベーター等を含めた共用部設備も利用が可能。地域の防災拠点として、災害時の帰宅困難者を受け入れる施設として開放する。