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彌榮自動車/JR西日本不動産開発 「JR西日本不動産開発ヤサカビル」が竣工・開業
2021.09.13 12:24
彌榮自動車(京都市下京区)とJR西日本不動産開発(大阪市北区)は、彌榮自動車が所有する京都市下京区の土地においてスーパーマーケットとホテルをテナントとした複合施設「JR西日本不動産開発ヤサカビル」を竣工した。
同施設は敷地面積2505・5㎡、延床面積1万2396・64㎡、鉄骨造地上8階建ての店舗、ホテル、駐車場用途の複合施設。
当該地は、大正時代に初めて京都でハイヤーを走らせた現在の彌榮自動車(ヤサカタクシー)が会社設立当時から所有する事業地で、京都を訪れる国賓・公賓などの対応を担うハイヤー事業や観光バス事業など、彌榮自動車の事業を地道に積み重ねてきた土地。
2018年より当該地の活用について本格的にJR西日本不動産開発と彌榮自動車と共同プロジェクトを立ち上げた。
開発コンセプトは「『利便性の向上』×『地域との共生』による地域の活性化」。京都市中心部の交通利便性の高いエリアに位置するとともに、既存のコミュニティが存在するという立地特性を最大限に活かして、京都を訪れる人々の観光やビジネスの拠点として、また周辺住民の生活基盤として便利で快適に利用できる施設を目指す。
また、京都の伝統文化を大切にしたデザインや機能を取り入れ、伝統文化の継承や地域の魅力発信に貢献する。
入居テナントは京都観光やビジネスのニーズに対応できる国内・海外問わず顧客満足度の高いハイグレードな宿泊主体型ホテルを上層階に誘致し、低層階には、周辺に数少ない総菜や生鮮三品を取り揃える大型の食品スーパーを誘致することで周辺住民も日常的に利用できる施設構成とした。
四条通に面した同ビルの外観は、祇園祭の山鉾町で屏風祭などがおこなわれる地域性を取り入れ、「ガラスの屏風」をイメージした先進的なデザインとした。祇園祭の時期には同施設の目の前に「四条傘鉾」が建ち、伝統的な鉾と先進的な屏風の協奏を地域に発信する。また、奥深い京都らしい敷地形状を活かし、奥に進む行為が心地のよい空間体験になることを目指した設計を基本方針としている。
同施設3階に位置するホテルのロビーには、見る角度や眺める場所により、“季節のうつろい”を感じることができる庭園を配置。同庭園は全面ガラスとし、エレベーターホールから出てすぐに約60mの奥行きの庭園が一望できホテルのロビーに訪れた瞬間から来訪者に非日常的な空間に誘う設計としている。
また、同庭園の設計においては、植治次期十二代小川勝章氏監修のもと「十緑十色―うつろいの庭」と題し、来訪者の見る季節や時間によって表情が異なる一期一会の世界観を大切にして樹種の選定、配置を設計している。