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21年7~9月のM&A件数は過去2番目の多さ 住宅・不動産業界コロナ前の水準に戻す ストライク集計
2021.11.08 14:10
M&A仲介を行うストライク(東京都千代田区)は東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)を集計。2021年第3四半期(7―9月)の住宅・不動産業界におけるM&A発表件数は2年ぶりの増加となる前年同期比4件増の9件で、2012年以降の10年間では11件だった2019年に次ぐ2番目と活気を取り戻した。取引総額も2年ぶりに増加し、約747億円だった。この10年間では約1495億円だった2019年に次ぐ2番目の水準。9件中7件が金額非公表だったものの、残る2件が100億円超の大型案件だったため取引総額が伸びた。
内訳は戸建住宅関連が3件、住宅リフォーム・リノベ関連とシェアオフィス関連が2件ずつ、不動産開発関連と不動産賃貸関連が1件ずつだった。
取引金額のトップは、大和ハウス工業が8月10日に米国子会社を通じて戸建て住宅・宅地分譲の米CastleRock Communities, L.P.(テキサス州)の発行済株式80%を約448億円で取得して子会社化すると発表した案件。米国東部、西部に続き、南部でも住宅事業に本格的に進出する。CastleRockが本社を置くテキサス州は米国最大の住宅市場の一つで、伝統的な石油・エネルギー産業に加え、ハイテク産業の集積が進み、他州からの移住も活発となっている。CastleRockの州内における2020年の引渡戸数は1628戸。大和ハウスは2017年にバージニア州で、2020年にはカリフォルニア州で戸建て住宅事業を手がける現地企業をそれぞれ傘下に迎えている。
2位は日本エスコンが8月31日に関西で不動産賃貸事業を手がけるピカソ(大阪市)、優木産業(大阪市)などの全株式を299億円で取得して完全子会社化すると発表した案件。ピカソ、優木産業は兄弟会社で、他にグループ6社も傘下に収める。賃貸事業の強化が狙いで、取得予定日は2021年10月29日。その他に金額非公表の案件が7件あった。