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ハウステンボスで自立支援介護 ホテル内に自費デイサービス

2021.12.06 11:40

3カ月の滞在で歩行機能回復
 ハウステンボス(長崎県佐世保市)は12月1日、運営する高級ホテル「ホテルヨーロッパ」内に完全自費のデイサービス「ポラリスステイPremium」(以下、自費デイ)を開設した。3カ月間ホテルに滞在しながら集中的にリハビリテーションを受け、さらにリゾート施設の様々な資源を活用して歩行機能の回復を目指す世界初の「リゾート滞在型ヘルスケアツーリズム」を提唱していく。
 自費デイは自立支援特化型デイサービスを全国で展開するポラリス(兵庫県宝塚市)が運営。同社は今年10月に大阪市のリーガロイヤルホテル内に自費デイを開設し、ホテルに滞在しながら集中的にリハビリを受けるという新しいスタイルのサービス提供を開始しており、ホテルと連携しての事業展開は今回が2例目となる。定員は3組。費用は3カ月間の滞在で330万円~1100万円(いずれも税込み・1日2時間のリハビリを週に5日)。ホテル宿泊費や食費は別途。ホテル滞在中に生活援助などを必要とする場合は有償オプションで対応する。また、1泊2日程度の「お試しプラン」も用意する。
 今回のサービスについて、ポラリスの森剛士社長は「単に下半身に筋力を強化するだけでは歩行機能は回復しません。歩けるようになるためには何よりも『実際に歩く』ことが重要です。約152万㎡という広い敷地をもつハウステンボスは、歩くことには非常に理想的な環境です。異国情緒あふれる街並みや様々なショー、イルミネーション、花火などの『非日常感』は歩こうという動機付けにもなります。当社では元々世界一周クルーズ船内での自費デイの提供を考えていましたが、新型コロナウイルス感染症でクルーズ船の出航ができず、サービス開始が延期になっています。ハウステンボスには、観光、運動、食事、ショーなどクルーズ中に乗客が体験できることのほとんどが揃っており、サービスを提供する環境としては最適と考えています」とハウステンボスのポテンシャルの高さが今回のサービスにつながったと語る。
 また、ハウステンボスの坂口克彦社長は「当園のテーマは『すごい』『美味しい』『きれい』などの『感動体験』です。感動は心のデトックスになり、結果として健康寿命の延伸につながります。こうしたテーマとポラリスの考えが一致し、今回の新サービスに至りました」とコメントしている。
 さらに、ハウステンボスは今回のサービス開始に合わせて満75歳以上を対象にした年間パスポート「シニア75」を新たに発売した。これまでの65歳以上の年間パスポート料金1万6000円(税込み)から5000円(同)へと大きく引き下げ、高齢者の来場を促す。現在の年間パスポート保有者は満75歳になった後の更新時に新料金に切り替えとなる。自費デイ利用者には、同伴者分も含め「シニア75」を2枚贈呈し、利用後も定期的に来園して散策などでの健康・体力維持を図ることを呼びかけていく。
 また、ハウステンボスはヨーロッパの街並みを再現していることから石畳の街路が多く、車椅子や歩行車での移動が困難という問題があったが、今年5月に全ての街路についてレンガ敷きのスペースを確保し、車椅子などでも移動しやすいように改修を行っている。




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