週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

九州フィナンシャルグループ本社ビル開業 金融機関の拠点としてBCPや環境に配慮、ビル内には賃貸オフィスも

2021.12.13 14:40

 鹿児島銀行と肥後銀行を傘下に収める九州フィナンシャルグループ(熊本市西区、KFG)は、本社ビル「KFGビル」を全面開業した。
 熊本市西区春日に竣工した同ビルは敷地面積3011㎡、延べ面積1万6670㎡、地上11階。フロアは3~5階を賃貸オフィスとし、他のフロアは鹿児島銀行熊本支店、九州フィナンシャルグループ総合受付と執務室、九州デジタルソリューションズ、グループ会社執務室、九州FG証券本社、同熊本支店などで構成される。また、7階には屋上庭園であるスカイテラス、食堂、セミナールームを備える。賃貸オフィスにはにはIT企業等8社が入居を予定している。
 外観は、KFGのシンボルマークである「大樹」をモチーフに、庇による影やガラス面への周辺環境の映り込み、外装ガラスの雁行や庇の形状による枝葉の広がりをイメージさせることで「大樹」のシルエットを表現。1階の公道沿いにはシンボルツリーとして、熊本・鹿児島両県の県木であるクスノキをはじめとした植栽や水景施設を施し、景観やまちづくりに配慮した。
 オフィスフロアは柱間最長19mのロングスパン構造とし、高さ2・95mのグリッド型システム天井、OAフロアの採用によるフレキシビリティの高い快適な執務空間を実現。窓は熊本の強い日射を遮りながら断熱性を高めるダブルスキンやLowEガラスを採用した。さらに空調エネルギーの使用を低減させる自然通風システムの採用やLED照明・高効率機器の実装、建物中央部のエコボイド(吹き抜け空間)設置などにより、自然の光や風を積極的に活用している。
 内装材には、熊本・鹿児島両県の県産木材を各所に採用。1階にドライミストや植栽を施すとともに、7階には屋上緑化(スカイテラス)を整備。設計完了時点で「CASBEE熊本」においてSランク(最高ランク)を取得している。
 BCPにも配慮し、熊本地震の経験を踏まえ各所に制振装置を設置して地震力を吸収、揺れを低減し大地震時にも機能保持が可能な高性能制震構造を採用した。また非常時における電源供給の二重化や72時間の電力供給を想定した非常用発電機の設置、1階の全ての出入口に止水板等を配置するほか、各種主要設備の設置場所を2階以上にする。さらにインフラ途絶後72時間の利用を想定した受水槽・排水槽を設置し、井戸も整備。帰宅困難者が発生した際の受入施設として、熊本市と協定を締結する予定。




週刊不動産経営編集部  YouTube