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大和ハウス工業 老朽化した公設市場の建替え支援事業を開始
2022.03.07 18:23
大和ハウス工業(大阪市北区)は2月25日、行政の財政負担軽減や施設規模の最適化のため、老朽化した公設卸売市場の建替え支援事業を展開すると発表した。その第一弾として同日、「富山市公設地方卸売市場再整備事業」の本体工事に着手した。
1970年代、全国各地に中央卸売市場や地方卸売市場などの公設卸売市場が約200カ所建設されたが、これらの施設は開発から約半世紀が経過し設備の老朽化や耐震性の不足などの課題を抱えている。また、多くの公設卸売市場では取扱量に対して過大な施設規模となっているため、全国各地の行政では品質管理や配送などの機能強化のために民間企業を活用した再整備を進めている。そこで同社は食品施設や物流施設など生鮮食品を取り扱う施設の開発実績をもとに、公設卸売市場の建替え支援事業を開始した。
同社は創業以来、約900カ所で食品工場や冷凍・冷蔵倉庫など数多くの食品関連施設を手掛けてきた。また、物流施設は3000棟以上を開発しており、これらのノウハウを生かして全国各地の行政が公募する卸売市場の再整備事業に積極的に応募することで、老朽化した公設卸売市場の建て替え支援事業を進めていく考えだ。
第一弾となる「富山市公設地方卸売市場再整備事業」は、1973年5月に開設された富山市公設地方卸売市場の建替えと余剰地活用を行う事業。卸売市場施設のコンパクト化と富山市の財政負担軽減を図るため、余剰地に商業施設を誘致し、「まちに開かれた生活市場」をコンセプトとした一体開発を行う。商業施設には、スーパーマーケット、ホームセンター、大型家具店などを誘致。富山市が所有する市場敷地全体に約30年間の事業用定期借地権を設定し、「新とやまいちば創生プロジェクトチーム」が市場施設と商業施設などを一体的に整備し、2026年3月に開業する予定となっている。