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三洋商事 SDGs施策の取り組み活発に 若手社員中心に「地球環境・未来創造部」発足
2022.03.07 18:25
三洋商事(東京都江戸川区)は産業廃棄物処理事業を展開しており、情報通信機器や電気通信設備の処理、また建設解体撤去工事などを行う。10年以上前より環境負荷を低減させる取り組みを行う。またSDGsの施策も活発化させている。
対外的発信を通じて人材採用にもメリット
同社は1957年に東大阪市で会社を設立したが、その沿革はさらにさかのぼれる。戦後間もなくの1947年に名古屋逓信局の要望で奈良県吉野郡に吉野電柱防腐工場を創設。東海電気通信局の指定工場として防腐電柱を製作。併せて、中古機械の販売業や電気通信局などの払い下げ等を取り扱う「三洋商店」を創業した。4年後の1951年に吉野電柱防腐工場を閉鎖、三洋商店の経営に専念。1957年には、三洋商事の設立となった。
廃棄物処理の業務のなかでは、いかにリサイクルにつなげて廃棄を減らしていくかが業績を左右する。そのため各社、リサイクルには積極的に取り組んでいる。同社ではそういった取り組みを先進的に取り組み、昨今では「SDGs」に絡めた発信を強化している。
同社の産業廃棄物処理の方法で注目されるのが「手サイクル」。通信機器やサーバー設備、PCなどを処理する際の工程に取り込まれている。代表取締役の河原林令典氏は「機械によるリサイクルの場合だと、リサイクル率は6割で残りの4割はゴミになってしまいます。当社は最初に機械で廃棄物を分解した後に人の手で分解していく『手サイクル』を導入しています。これによってリサイクル率は98%となり、ゴミとなっているのは2%ほどです」と話す。
こういった手法が評価され、環境省が「環境保全に関する取組の先進企業」として認める「エコ・ファースト企業」に08年に認定されている。これは産業廃棄物処理業界では初の認定になったという。事業以外でも日本財団と環境省による、海洋ごみ対策共同プロジェクトの全国一斉清掃キャンペーン「海ごみゼロウィーク」の2020年秋より参画。また無料授業「SDGsスクール」などCSR活動にも生かしている。
河原林氏は「今後も取り組みは強化していく」として、次のように続けた。
「2020年には新たに地球環境・未来創造部というSDGsに関する専門部署を立ち上げて、初代部長には若手社員の石田公希を抜擢しました。当社の活動への認知度が上がることによって、採用活動でも学生からの応募も増えています。今年1月からは独自の2030年SDGs目標を設定して一丸で取り組む『ありチャレ』をスタートいたしました。一層の取り組みの深化を図っていきたいですね」
産業廃棄物処理の業界イメージの向上にもつながっていきそうだ。