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「三ノ宮」駅近接の街区に32階複合ビル 神戸三宮雲井通5丁目地区第一種市街地再開発事業本格スタート

2022.06.13 10:58

 「神戸三宮雲井通5丁目地区第一種市街地再開発事業」が権利変換計画の認可を受け、本格的にスタートする。
 同再開発事業は、事業主体として設立された雲井通5丁目再開発(神戸市中央区)のほか、神戸市、三菱地所(東京都千代田区)、三菱倉庫(東京都中央区)、TC神鋼不動産(神戸市中央区)、大林組(東京都港区)がともに進めている。
 開発地はJR「三ノ宮」駅に近接する国道2号沿いで、現在はショッピングモール「サンパル」、神戸市中央区役所、神戸市勤労会館などが立つ1・3haの街区。ここに敷地面積8230㎡、延床面積9万8570㎡、地上32階地下3階の複合ビルを建設。中長距離バスターミナルをはじめとする公共施設や商業施設、オフィス、宿泊施設などとする計画。今月には解体工事に着手し、2027年度の竣工を予定している。
 24~32階には、ブライダル事業を手掛けるテイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)が、神戸初となるラグジュアリーブティックホテルを展開。新たなホテルブランド「EVOL HOTEL(仮称)」を立上げ出店する予定。60超の客室を有し、眺望を楽しめるテラス付きレストランやバーを備える。最上階には、開放感ある幅30mのプールやスパなども完備。「ホテルで過ごすこと」自体を堪能できる計画とする。
 11~22階は、エリア最大級となる1フロア約350坪のオフィス。各フロアは無柱空間とし、神戸のフラッグシップに相応しいオフィスを整備する。
 10階には屋上庭園を計画。図書館、高層部分のスカイロビーやカフェに隣接した集い・憩いの場としてデザインし、階段状の庭園をのぼった北側頂部からは六甲山を眺望できる。
 低層部分には、新バスターミナルのほか、大ホール・多目的スペース等を有する神戸市のホールや図書館、商業施設、屋上庭園を複合的に配置し、来訪者がさまざまなアクティビティを楽しみながら回遊できる場を創出する。
 立体歩行者動線として、2階レベルの屋外歩廊空間から10階の屋上庭園までをつなぐ「バーティカルパッサージュ」を整備。各機能間の回遊性を高める。
 災害時には、帰宅困難者のホール等での一時滞在受入れ、バスターミナルでの代替輸送などにより、周辺地区の防災機能の強化、防災都市・神戸を象徴する防災拠点の形成に寄与する。
 外観意匠も特徴的だ。近隣の既存ビルとスカイラインを合わせた低層部分は、木調の意匠、竹籠や格子などの伝統工芸をモチーフとした。旧居留地などのまち並みとも親和性があり暖かみのある素材や色彩により、神戸のまちのコンテクストを強く発信する。
 高層部分は、ニュートラルなガラスのボリュームを基調に、低層部分の意匠・色調と一体感のある水平ルーバーなどにより低層部分との一体感を創出し、背景となる神戸の山並みとの調和を図るとともに、建物全体でシンボリックかつランドマーク性の高いデザインを実現する。
 開発に参加する各社は、「『神戸と世界とをつなぐ、未来へつなぐ、次世代の都心創造プロジェクト』を本事業のコンセプトとして、神戸のさらなる国際化と成長を牽引するまちづくりに、地権者の皆様とともに取り組んでまいります」としている。




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