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EV充電インフラ設置を非住宅施設へ拡大
2022.06.20 12:11
既設分譲向け「想定以上」の反響 大手デベロッパー・管理会社とも連携へ
TerraMotors(東京都千代田区、テラモーターズ)は4月より既設分譲マンション向けにEV自動車向け充電インフラ設備と専用アプリ、管理クラウドサービスをパッケージとした「TerraCharge(テラチャージ)」事業をスタート。発表2カ月ほどで初年度1000棟導入の目途が見えたことから、非住宅分野へ拡大していく。その皮切りに自治体施設100カ所へEV充電インフラを無料での提供を発表。さらにホームセンターやパチンコ店舗を対象にした同様の施策も打ち出している。
「テラチャージ」は初期費用や運用中のランニングコストがかからない。加えて、使用した電気代に上乗せされた報酬がテラモーターズ側から支払われる仕組みとなっている。
取締役会長の德重徹氏は新規事業の進捗について「予想外だった」と明かす。躍進の背景には「テラチャージ」のビジネスモデルのわかりやすさや補助金、直近で10億円の資金調達を行うなどの財務体質の健全性、また国内外の自動車メーカーからEV車種が日本市場に投入されたことが挙がる。
EVへの注目度も高まっている。報道によれば、今月16日に発売された日産自動車(横浜市西区)の軽バッテリEV「サクラ」。発表から3週間で受注台数が1・1万台に上った。国内市場は年間のEV販売台数が2万台ほどだが、その半分を1カ月足らずで達成した。
德重氏は「日本でEVが急速に普及していく可能性は高い」と見る。ヨーロッパでも近年急速に市場が成長してきた。その背景について「補助金」、「EV充電インフラの整備」、「車種の豊富さ」の3つが重なったことを挙げる。日本でも充電インフラの整備によって、ヨーロッパと同様の状況が生まれる可能性が出ている。
今後展開していく非住宅施設として、オフィスビルや宿泊施設、商業施設、物流施設や工場、また大型の駐車場を併設するロードサイド店舗などを想定している。オフィスビルであれば、入居テナントが営業車両のEV化を進めていくことも想定される。そういった企業の入居には充電設備が必須設備となってくる。
「大手デベロッパーやリートが保有・運用するオフィスビルでは、EV充電用のコンセントを設置しています。しかしながら、誰がどれくらい充電したか、電気料金を使ったかがわかる仕組みがありません。この点はEV普及とともに問題になってくることが予想されます。『テラチャージ』はそういった課題解決のソリューションになります」(德重氏)
非住宅向けのEV充電インフラ設置棟数として、今後1年間で1000棟規模を目標に据える。ビルの付加価値向上策のひとつとして導入・検討が進んでいきそうだ。