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日機装 天吊型の空間除菌消臭装置「Aeropure series C」オフィスのスペースパフォーマンス向上に寄与 次世代の空間除菌を提案
2022.11.21 17:21
「置く場所がない」から開発 簡単工事でランニング費用ゼロ
日機装(東京都渋谷区)はシステム天井に対応した空間除菌消臭装置「Aeropure(エアロピュア)シリーズC」を開発。今年6月より販売を開始した。
1953 年に創業した日機装は、産業用特殊ポンプやそのシステム製品の開発からCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製航空機部品、ヘルスケア製品の医療部門機器まで幅広く事業を展開してきた。
「Aeropure」は、2014年のノーベル物理学賞受賞者とともに同社が開発した除菌消臭装置。深紫外線LEDの技術を活用することで、空間中の菌やウイルス、においなどを低減することができる。これまでに置き型の「Aeropure series S」、1~2畳のコンパクトな空間に対応した「Aeropur series P」など多くのモデルを開発。あらゆるニーズを取り込んだ製品展開や機能性の高さが支持され、導入実績は医療機関やオフィスをはじめ計10万台以上に上る。
最新型の「Aeropure シリーズC」は天吊型の空間除菌消臭装置となる。メディカル事業本部 ヘルスケア事業推進部 営業グループの久保田凛太郎氏は「これまで様々な製品展開を行う中で、『空間除菌装置をオフィスに置く場所がない』との声が上がるようになりました。そこで開発した『Aeropure シリーズC』は、システム天井の天井版を一カ所外し、格子裏からはめることで設置ができます。大掛かりな工事は必要なく、作業自体も1~1時間半程度で終えられます。また天井型の空間除菌装置は通常、ランニングコストがかかります。具体的には、約3万5000円程度のフィルターを2年に1度の交換が必要です。一方で『Aeropure シリーズC』の光触媒フィルターは交換が不要。ランニングコストが大幅に抑えられることも大きな魅力です」と話す。
除菌・消臭の仕組みは従来式の「Aeropure」と同様。深紫外線LEDと光触媒フィルターを組み合わせることで除菌・消臭を行う。光触媒フィルターが装置内に取り込んだ空気中のにおいやアレル物質を捕捉し、分解。装置内を通過する空気に対して深紫外線を照射することで除菌を行い、クリーンになった空気を放出する。この動作を繰り返すことで、室内の空気が清浄化される。
1台の対応面積は約30畳。既存物件にも後付け設置ができる点は「Aeropure シリーズC」の大きな特徴となる。オフィス業界では現在、再開発による大量供給が控える「2023年問題」が喫緊の課題として取沙汰されている。既存ビルのオーナー側は、いかにリーシングを工夫するか、もしくは物件に付加価値を付けるか。この岐路に立たされるのではないかとの懸念の声もある中で、物件の価値向上の手段の一つとしても有効かもしれない。
感染対策がストレスに 調査で判明したワーカーの意識
この「Aeropure シリーズC」の反響は上々。今年6月に移転した三菱地所ホーム(東京都新宿区)の本社「TOKYO BASE」で導入済みのほか、地方の中小ビルオーナーからのニーズもあるという。今後、設置に向けて工事を本格始動していくという。 さらに日機装では、昨今の働き方の変容に着目している。今年10月には、同社のワーカー及びオフィスの整備担当者を対象に「アフターコロナ時代のオフィスに関する意識実態調査」を実施。従業員の52.5%、オフィス整備担当者の76%がスペースに対して得られる価値や成果を意識すべきと回答したという。このアンケート結果を受け、同社では「スペースパフォーマンス」の概念を提案する。
「先日のアンケートの結果、感染対策の手間やパーテーションによる圧迫感が、ワーカーの皆様のストレスとなっていることがわかりました。ウイルスを意識しない快適なスペースの創出も、オフィスづくりにおいて大切なことだと感じます。同様にアンケートでは、空間除菌装置の設置により有効に使えるスペースが減っているとの指摘も上がっています。アフターコロナ時代を迎え、スペースそのものや空間づくりに関わるコストに対して得られる価値・成果を重視する傾向が強く出ているようです。この成果やパフォーマンスについて、私たちは『スペースパフォーマンス』と名付けています。天吊型の空間除菌装置である「Aeropure シリーズC」は、オフィスのスペースパフォーマンスの向上、感染対策によるストレス軽減に大きく貢献すると期待しています」(久保田氏)。
ハイブリッドな働き方が台頭する昨今、「出社したくなるオフィス」を模索する企業も増えている。スペースパフォーマンスを適える「Aeropure シリーズC」は、「出社したくなるオフィス」に必要不可欠な存在となるだろう。