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ダイビル 米アトランタ近郊にESG配慮型オフィス開発 既存校舎等の改修で歴史・文化を継承 木造建築で脱炭素化も推進

2022.12.05 11:34

 ダイビル(大阪市北区)の100%子会社Daibiru USA, LLC(デラウェア州ウィルミントン)と、住友林業(東京都千代田区)の100%子会社Crescent Communities, LLC(ノースカロライナ州シャーロット)は、米ジョージア州アトランタ近郊でESGに配慮したオフィスを開発する。
 開発は、1950年に教育水準向上のため設立されたアフリカ系アメリカ人向けの学校跡地を再開発するプロジェクト。土地・建物は教育委員会から取得。既存の校舎・体育館をオフィスに改修すると共に、マスティンバー構造の3階建て木造オフィスと駐車場棟を新築する。マスティンバー構造とは、複数の木材を組み合わせて成形した比較的質量の大きいエンジニアードウッド(マスティンバー)利用の構造。RCや鉄骨と比べ、工期の短縮や建物の軽量化が可能。昨今は理想的な建築材料として北米で注目されている。またサステナブルな資源である点や炭素固定効果によって脱炭素に貢献する点も評価。大規模建築物への活用も進んでいる。今回はDaibiru USA、Crescent、地元の不動産開発業者KB Venture Partners, LLCが共同出資するSPC(特別目的会社)が開発。住友林業の100%子会社SFCアセットマネジメント(東京都千代田区)がプロジェクトの取り纏めを行う。
 開発は3階建ての木造オフィス棟と駐車場棟を新築のほか、既存校舎・体育館の2棟をオフィスに改修。木造オフィス棟は鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造に比べ、建築時のCO2排出量を削減。木材の炭素固定効果により脱炭素に寄与する。地域の歴史・文化的な意義のある既存建物を改修し、社会的価値を保存・承継する。と同時に、既存建物の改修・再利用により解体・新築する場合に比べ、CO2排出も抑制する。総事業費は約111億円(22年11月28日の為替レートで計算)で、24年4月の完成を目指す。




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