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テラスバ 別府市の築古マンションをSOHOに IoTも導入 半年で満室稼働へ導いた付加価値提案

2022.12.26 11:29

 大分市内を中心に不動産賃貸・管理、コンサルティング等を展開しているテラスバ(大分県大分市)は今年5月、保有する築30年超のマンションを改修し、SOHO物件にコンバージョンした。
 テラスバは、現代表取締役の田口誠一郎氏が2015年に設立。不動産管理会社に長年勤務していた田口氏のノウハウを生かした、空室改善の提案力を売りとする。不動産売買事業に始まり、現在は不動産管理事業にも注力。管理件数は600戸に上る。
 今回コンバージョンした賃貸住宅は1990年築の地上4階、全9室からなる「コーポエスポワール」。JR「別府」駅から徒歩15分、店舗と住宅が混在する市中心地に位置する。取得したのは約1年前。コンバージョンの経緯を、常務取締役の佐藤準基氏は語る。
 「当社の事業の一つに民泊の運営サポートがあります。コロナ禍では、ワーケーション利用の方が都市部から短期間滞在されるケースが増えました。利用者様とお話をする中で、『東京で働きながら大分で別の事業をやりたい』というニーズに気づきました。テナント物件よりも安く、地方の事業拠点として活用していただけるようにSOHO物件への改修を決めました」。
 単なるSOHOではなく、IoTが導入されていることも特徴的。玄関の開閉やエアコン・照明のオンオフなどをスマートフォンで操作できる。IoT導入物件は大分にそれほど多くないという佐藤氏。賃料は従来から8000円程度上げたものの、反響は上々だったという。
 「物件取得時は8割が空室でしたが、現在は満室になっています。入居されたのは20代から40代までの比較的若い方々。間取りも2DKから1LDKに変更しており、間取りの使い勝手の良さやIoTを気に入っていただいたことが、成約に繋がっています」(佐藤氏)
 別府と言えば有数の温泉地。豊かな自然や古き良き街並みも大きな魅力。観光人気が高いが、昨今は空き家の増加が問題視されている。テラスバでは提案力を生かし、空室改善を通した地域活性に取り組んでいく構えだ。
 「人口減少などを背景に、マンションの空室も増えています。気を付けたいのが、地主様と投資家オーナー様でそれぞれ不動産経営の目標は異なってくるということ。当社のマーケティング力やそれぞれの物件の持ち味を生かして、皆さんに寄り添った提案をしていきたいと考えています」(佐藤氏)




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