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THIRD ビル管理会社対象の工事ロイド 工事見積もりの適正価格算出 原価から平均20%削減
2023.03.06 10:48
THIRD(東京都新宿区、サード)はビル管理会社などを対象に、工事見積もりの適正価格が分かるAI査定・発注支援のクラウドシステム「工事ロイド」を提供している。営繕工事の適正価格算出に特化しており、全国規模で複数棟のビル管理業務を展開する管理会社に適している。
不動産管理のDX後押し 業務効率化の管理ロイド
コンストラクションマネジメント(CM)から始まったTHIRDは、建築・機械・電気工事におけるコスト削減のコンサルティングを得意とする。2019年に不動産業界や建築業界の非効率な業務を改善し、不動産管理のDXを後押しする管理プラットフォーム「管理ロイド」の提供を開始。大手不動産管理会社を中心に全国で1600社以上に導入されている。導入企業の中では最大66%の業務効率化に繋がった事例もあるほど。このサービスで培った知見やノウハウを生かし、営繕工事の適正価格算出に特化したのが工事ロイド。
利用方法はシンプルかつ簡単。業者から取り寄せた見積書を工事ロイドへアップロード。見積書の内容をAIが1行ずつ読み取り、どの様な工事内容なのかまでしっかりと把握する。その後、同社保有の建物に使われている資機材データベースから費用の適正価格を算出。査定ポイントごとに、「見やすく・分かりやすく・比較しやすく」レポートとしてまとめる。後はビル管理会社がレポート結果をもとに、業者を選択するだけ。レポート結果に基づく工事価格の業者を希望する場合は、THIRD所属の現場監督経験者が各種工事手配をサポート。
対象の工種は、電気工事と機械工事。1件あたり平均でおよそ30万円の工事額での利用が多く、1000万円未満での利用が多い。一般的な工事では、最初の見積もり時点で適正価格に余分な利益が上積みされるケースが多いが、工事ロイドならば同部分を圧縮するため、工事原価から平均20%の削減に成功している。工事経験の有無に応じて影響度は異なるが、工事経験の少ない不動産管理担当者であれば協力会社からの見積もり受領や分析完了までで最大75%の時間・手間を削減。自社見積作成から合意・調整までの交渉時間やオーナー企業に提出する見積書作成の時間等では最大92%削減できる。
代表取締役社長の井上惇氏は「事業用物件を複数棟保有するオーナーや建物の運営・管理業務を行う管理会社に適しています。そもそも工事ロイドは建設工事価格における企業の不安・課題を解決するアプリです。営繕工事を中心とした工事見積もりの適正価格の分析に知見が少ない企業、その分析に時間を割けない企業にマッチします。見積書の作成機能を使用すれば、誰でも同じ品質の作成が可能です。他社の工事見積もりを自社のフォーマットに自動転記できることも利用者から好評です。人の手で行った時の抜け漏れや間違いを防ぎ、業務時間の大幅な短縮も実現しました」と語った。
AIのレポート結果を元に、あくまでも工事の適正価格を見極めることに特化しており、単に工事費の安さだけを求めるシステムではない。突発的に発生する営繕工事は、適切な工事内容で迅速に対応する企業を選ぶことが大事。その様な企業へ営繕工事を依頼するための業務効率化を実現した。ビル管理会社には今後必須のシステムと言えるのではないだろうか。