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三井不動産/三菱地所/住友不動産 売上高など過去最高を記録

2023.05.15 11:00

 三井不動産(東京都中央区)、三菱地所(東京都千代田区)、住友不動産(東京都新宿区)の3社の収益などが、過去最高を記録した。賃貸、分譲、管理などいずれの分野も堅調で、コロナ禍からの復調も下支えとなっているようだ。

軒並み「過去最高」利益も上方修正へ
 5月に入り、不動産デベロッパー各社が2022年度の決算を発表した。三井不動産、三菱地所、住友不動産の3社の売上高などが過去最高を記録。伸長が続いている。
 三井不動産の売上高は2兆2691億円で前期比1682億円(8・0%)の増収。営業利益は3054億円で、24・7%増益。純利益は1969億円、11・3%の増益。売上高、営業利益、経常利益、純利益はいずれも期初公表を上回り、過去最高を更新した。
 三菱地所は、売上高1兆3770億円で前期比2・1%の増収。営業利益は2967億円で6・4%の増益。純利益も1653億円で6・6%の増益とした。売上高、営業利益、純利益とも過去最高。
 住友不動産の売上高は9399億円。前期比0・1%の増収だが、営業利益は2412億円で3・2%増益。純利益も1619億円で、7・6%伸ばした。売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてで前年を上回り、経常利益は2期連続、純利益は10期連続の最高益更新を達成している。

オフィス事業下支えにホテルや商業も復調
 各社とも、原動力となったのは堅調なオフィスビル事業だ。それをベースとして、ホテルや商業施設のコロナ禍からの復調による売上増加が「過去最高」に大きく寄与している。さらに生活環境の変化や低金利に押された分譲住宅も続く。
 なかでも三井不動産は、全方位で堅調を維持した。賃貸、分譲、マネジメントの各セグメントの営業利益もそれぞれ過去最高益を更新。賃貸分野では「50ハドソンヤード」などの海外オフィスの収益・利益の拡大と、国内外の商業施設の回復等が寄与。分譲分野では、
国内住宅分譲の順調な引渡し、国内外物件の投資家等への売却などが進捗した結果だという。マネジメント分野では、時間貸し駐車場「リパーク」の稼働向上・費用削減効果、さらにホテル、リゾートの単価と稼働率の大幅な改善、東京ドームの稼働日数・来場者数の増加が挙げられる。  三菱地所では、「常盤橋タワー」の貢献により賃貸収入・利益が増加したが、閉館予定ビルの賃料減などにより、賃貸収入・利益ともに前期比減少。コマーシャル不動産事業(不動産賃貸)全体としては横ばいだったものの、住宅事業では物件売却により増益。海外事業ではロンドンのオフィスビルや米国物流施設の売却等により、大幅な増益を達成している。
 住友不動産では、主力のオフィスビル事業で「住友不動産東京三田ガーデンタワー」、「住友不動産新宿ファーストタワー」などが堅調に推移して業績を下支えしたのに加え、ホテル、イベントホールなどの施設営業分野もコロナ影響による落ち込み幅が縮小。不動産賃貸事業は増収増益となった。工事事業や中古住宅仲介が好調な不動産流通事業とともに最高益を更新して業績に寄与した。分譲マンションを中心とする不動産販売事業は計上戸数の減少により減収となったが、利益率が改善して増益を確保している。




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