週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

コリアーズ・ジャパン 東京オフィスマーケットレポートを発表 新規貸床の大量供給も影響は限定的

2023.05.15 10:57

 5月11日、コリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)が東京の賃貸オフィス市場のレポートを発表した。
 「東京オフィスマーケットレポート」は年4回発表されており、今回は2023年の第1四半期(1~3月期)分。東京主要5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のグレードAオフィスビルの賃貸市況と今後の見通しについて、同社が独自に収集したデータに基づいて分析したものだ。1~3月期は合計5万坪を超える新規貸床供給があったものの、需要の緩やかな回復とともに消化され、賃料水準も下げ止まり傾向。しかし2023年半ば以降に控える大型の新規供給に伴い空室率の再上昇が予想され、賃料水準も下落傾向が続くと予想されるという。
 同期の各エリアの平均賃料と空室率は、丸の内・大手町が4万5000円/3・7%。日本橋・八重洲・京橋が3万7800万円/3・8%、赤坂・六本木が2万8900円/7・4%、品川・港南が2万4900円/6・1%、渋谷・原宿が3万5900円/2・6%、西新宿が2万7300円/5・8%で、各エリアとも短期的なオフィス市場のトレンド転換は見込みにくい状況という。
 日本橋・八重洲・京橋エリアは、「東京ミッドタウン八重洲」が空室を消化してグランドオープンを迎えたことなどから、賃料も上昇傾向に。一方、渋谷エリアでは、低水準にあった空室率が上昇してきている。品川エリアの空室率はほぼ横ばいだが、賃料は依然として下落基調。赤坂・六本木エリアでは需要の伸び悩やみが見られ、空室の消化が進まず賃料も横ばいで推移。今後の新規供給の影響に注視する必要があるという。比較的好調なエリアも、市場全体を牽引する力強さはないとしている。
 同社東京オフィス・ディレクター&ヘッドの川井康平氏は「貸主・ビルオーナーは、引き続き2023年竣工予定の大型新築ビルのテナント誘致状況に注意を払うことが推奨されます。賃料相場の下落ペースは鈍化していますが、今後も緩やかな下落が予想されます。長期化するフリーレントなどの要因により、実効賃料水準が下落していることからも、引き続き柔軟な契約条件調整が求められます」と分析している。




週刊不動産経営編集部  YouTube