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自社ビルの空中階をデザイナーズ賃貸オフィスに クリエイティブ事業の知見生かしたリラックス空間を造成
2023.10.09 10:52
ヒガ・アーツアンドメタル(東京都大田区)は、自社ビルの2階フロアをリノベーション。デザイナーズ賃貸オフィス「rooms higa(ルームス・ヒガ)」を開業する。
同社は1951年に鋼材販売店として設立。祖業は鉄鋼の製造・加工。設立40年の節目である1991年に、映像・イベント・デザイン企画制作事業を開始。自社ビル内に、最新機材を取りそろえた映像編集&MAスタジオ・撮影スタジオを開設した。映像制作、広告デザインをはじめとするクリエイティブ領域は次第に幅を拡大し、現在は鉄鋼事業との両軸で展開を進めている。
今回開設した「rooms higa」は、クリエイティブ事業を担うアーツ部門がプロデュース。設計・施工はクリエイティブなリノベーションで注目されているニューユニークスが立ち上げた新ブランド「松本商店」が担っている。
リノベーションした自社ビルの2階は、かつてクリエイター向けにアトリエや倉庫として貸し出していた場所。コンバージョンした経緯について、代表取締役の古畑勝正氏は「賃貸オフィスにすることで、様々な職種の方々を呼び込めると考えました。当社の持つクリエイティブ領域のノウハウを発揮して、デザイン性の高いオフィスに仕上がっています」と話す。
募集区画は20・03~42・58㎡の3室。賃料は11万8000~19万8000円。「単に」仕事をする場所ではなく、仕事のあい間に心と体を整えられる新しいコンセプトのオフィス空間となっている。各区画には木のぬくもりがあふれるヒーリングスペースを設けた。小上りのような設えとし、リラックススペース、一人で集中して働く場、コミュニケーションスペースなど使い方は様々。内装に、東京の森林で育った多摩産材をふんだんに活用していることも特徴だ。
「多摩産材を使うことで、地元東京の森林の循環に貢献したいと考えました。クリエイティブな発想から生まれたサステナブルな空間になっていると思います。おかげさまで様々な業種の方々から問い合わせが来ています。オフィスだけではなく、サロンをはじめとした店舗系の方々、さらにアーティストのアトリエとしても使っていただけると思います」(古畑氏)。
「rooms higa」は京浜急行「平和島」駅西口から徒歩3分。地元で永く愛される個人商店や飲み屋を抜けた先、マンションが立ち並ぶ環七通り沿いに立地する。羽田空港や「品川」駅など東京の玄関口へのアクセスも良い大田区は、約3500の工場が立地する「モノづくりのまち」として知られている。ヒガ・アーツアンドメタルでは鉄鋼製造・加工事業で歴史を重ね、近年はクリエイティブ事業に力を注いできた。ジャンルは違うが、「モノづくり」の魂は受け継がれている。
「『rooms higa』には、新しい発想を持っている事業者様に入っていただきたいと思っています。ゆくゆくは入居者様とコラボして、何か新しいことができたら面白いかもしれません」(古畑氏)。
「rooms higa」は間もなく完成を迎え、順次入居の開始を予定している。