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8月竣工の「近鉄半蔵門SQUARE」各フロアに屋外テラス 外気を感じられる開放的な造り
2023.12.18 11:19
丸の内や渋谷・新宿等の主要オフィスエリアほどではないが、オフィス需要の高い地域である麹町・半蔵門。今年8月に同地でコンパクトサイズのオフィスビルが竣工した。シェアオフィスからのステップアップを考える企業やデザイン性の高いオフィスを求める士業を想定し構築した。
オフィスフロア18坪 テック系企業など対象
近鉄不動産(大阪市天王寺区)は今年8月、東京メトロ半蔵門線「半蔵門」駅徒歩1分に「近鉄半蔵門SQUARE」を建設した。
同ビルは地上13階建て・延床面積865・85㎡(261・91坪)の新築オフィスビル。テナント数は12区画で、路面店1区画は店舗、空中階11区画はオフィス。2階には入居者専用のラウンジを設け、ミーティングや応接、ランチなど多様な用途に使用可能。設計監理にMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOを起用。彼らがラウンジや共用部を昨今のニーズ等も踏まえて手掛けた。オフィスフロアは各階18坪と比較的小ぶりなサイズ。スタートアップやテック系企業といった、他社との協業により成長していく企業を想定して構築した。
元々同社は都心3区内で駅至近、大通りに面し、かつ視認性にも優れている用地を探していた。前述の条件に合致した場所が現在地。コインパーキングであった土地を2019年4月に取得。「半蔵門」駅に加え、「麹町」駅も徒歩5分ほど。新宿通り沿いに位置し皇居にも近いことから、アクセス性や視認性を考慮して取得に至った。
什器有のセットアップ 成長移転をサポート
「近鉄半蔵門SQUARE」では各フロアに屋外テラスを設け、外気を感じられる開放的な造りとした。通常のオフィスビルは各階をつなぐ階段が、主に非常階段として建物の内部や裏手等に設置されるケースが多い。同ビルでは非常階段をあえて正面のファサードに配置。建物の外観デザインに取り込み、階段や踊り場を外部に開かれた開放的な空間とした。同時に各階を行き来する日常使いの階段として機能することで、テナント間のコミュニケーションの増進にも寄与。社員の休憩スペースや気分転換にも活用できる。またテナント専用の屋上テラスも用意。皇居側の視界が開けているなど、眺望も魅力の一つである。
首都圏事業本部 企画情報部の鈴木浩司部長は「特徴は開かれた階段のほか、2階の共用ラウンジ、屋上テラス等を通じて、各テナントのコミュニケーションのしやすい環境となっています。また同地は千代田区であり、霞が関の中央官庁や永田町にも近く、士業やコンサルティング業、IT関係の事業者等のオフィス需要が期待できるエリアです。周囲にはお洒落な飲食店や老舗の飲食店も多く、オフィスワーカーにとって働きやすい環境であることが魅力だと思われます」と語った。
また平田功治課長はリーシング対象について、「オフィスフロアについては、例えばシェアオフィスからのステップアップを考える企業(IT系など)や小規模でデザイン性の高いオフィスを求める士業を想定しています。1階店舗については、そうした入居テナントや周辺オフィスの人々が利用できる、テイクアウトメインのカフェを想定しています。オフィスは什器を備えたセットアップ型で、企業の成長移転をサポートできます」と語った。