週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

再生可能エネルギー由来の電力導入 保有管理ビル全体の再エネ100%目指す

2024.01.01 15:54

ビル12棟の使用電力 実質再エネ化に成功
 清和綜合建物(東京都千代田区)は、清水建設(東京都中央区)及び清水建設100%出資の小売電気事業子会社スマートエコエナジー(東京都中央区)と連携して、再生可能エネルギー由来の電力導入を始めた。
 同社は前述の2社と昨年10月23日に、オフサイトコーポレートPPAサービス(以下コーポレートPPAで統一)を締結した。PPAは「Power Purchase Agreement」の略。長期・固定価格での電力購入契約を意味し、オフサイトは需要家の敷地外の遠隔地から電力調達を意味する。同スキームではスマートエコエナジーが、千葉県印西市に位置する清水建設の太陽光発電所で創出した太陽光電力と、非化石証書充当によるCO2フリーの実質再エネ電力を合わせて供給する。対象物件は清和綜合建物が所有する「虎ノ門清和ビル」、「上野HSビル」、「浜松町清和ビル」のオフィスビル3棟。これらビルに20年に亘り、安定的に電力が供給される。供給量は年間約245万kWh。3棟の使用電力は全量RE100対応になる。CO2排出量の削減効果は年間約1125トンと、脱炭素に大きく貢献する。
 経営企画部 サステナビリティ推進室長の針田学氏は「当社では元々、SDGsや環境配慮等へ注力していく方針で、脱炭素もその一環です。2023年7月にサステナビリティ推進室を立ち上げ、再生可能エネルギー由来の電力導入を実現できたことで、今後当社がSDGs等へ積極的に活動していく姿勢を内外へアピールできました」と語った。ちなみに同社保有物件全体の数値からPPAだけでのCO2削減量を見ると、およそ1割弱の削減効果となった。
 また同社は既存の電力会社との電力供給契約に加え、環境価値を証書化した「トラッキング付き FIT 非化石証書」等の活用で、オフィスビル12棟の使用電力を実質再生可能エネルギー化した。既に導入済みのオフィスビルに加え、前述のコーポレートPPAの活用も加えると、保有・管理するオフィスビル全体の使用電力約50%が実質再生可能エネルギーとなった。年間約6380トンのCO2排出量削減に寄与する。
 針田氏は「プライム上場企業等を中心に、環境配慮やカーボンニュートラルへの取り組みが進んでいます。企業の中にはその様な取り組みを行う、かつCO2削減量をしっかりと提示できるオフィスビルを選択する動きも出てきました。コーポレートPPA等再生可能エネルギー採用のビルに入居することで、テナントは対外的に当取り組みを支援する姿勢となるからです。これらニーズに応えながら、保有・管理ビル全体の使用電力を再生可能エネルギー100%目指して引き続き注力していきます」と語った。




週刊不動産経営編集部  YouTube