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三菱地所 「新丸ビル」で空飛ぶクルマの運航実証 社会実装に向け屋上からヘリで試験

2024.02.19 10:43

 三菱地所(東京都千代田区)は、2月10日から18日までの5日間、「新丸ビル」の屋上と臨海部を繋ぐ航路で、「空飛ぶクルマ」の社会実装を見据えたヘリコプターの運航実証を開始した。
 三菱地所では2021年に空飛ぶクルマ事業の社内構想に着手。2022年1月には遊覧を目的とした「御殿場プレミアム・アウトレット」でのヘリコプタークルージングを開始。同年3月には「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画、7月に「酒々井プレミアム・アウトレット」でもヘリコプターの遊覧事業を開始している。そして2022年8月、東京都の「都内における空飛ぶクルマを活用したサービスの社会実装を目指すプロジェクト」に参画。日本航空(東京都品川区)、兼松(東京都千代田区)と共にコンソーシアムを結成し、三菱地所が代表企業として先進的な取り組みを推進してきた。
 空飛ぶクルマ(eVTOL)は、ドローンのように垂直離着陸ができることが特徴。電動のため、環境負荷や騒音の低減においてヘリコプターよりも特化し、将来的には自動運転も検討されている。都市部での渋滞解消、交通インフラが不十分な地域での移動手段の提供や災害時の利用、移動時間の短縮、観光等の価値提供など幅広い展開への期待感も強い。
 今回の実証実験では、「新丸ビル」屋上のヘリコプターの緊急離発着場を一時的に商用利用できるように工事。同ビルから「ゆりかもめ青海駅南側特設会場」、「東京ヘリポート」を結ぶルートを設計し、2月10日、11日、12日、17日、18日の5日間、一日で最大6便を運航した。事前に公募した一般モニターが搭乗し、就航料金は1名につき一律1万7600円。ヘリコプターを活用することで、搭乗時の顧客体験上の課題抽出や適性価格調査を通じた事業性検証、都心部において空飛ぶクルマを運航した際のオペレーション確認、騒音や風の周辺環境への影響などの技術的検証を主目的としている。
 11日に行われた記者発表会で、コマーシャル不動産戦略企画部 ユニットリーダーの谷沢直紀氏は「来年度以降は、東京都とも協議をしながら準備が整い次第、『空飛ぶクルマ』の実機を飛ばすことを目指していきます」と意気込んだ。

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