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「関電不動産渋谷ビル」竣工 ワーカーの個性を生かせる施策を盛り込む
2024.03.04 11:53
関電不動産開発(大阪市北区)が開発を進めていたオフィスビル「関電不動産渋谷ビル」が竣工した。
テナントの交流促進 BCP、環境にも配慮
同ビルは東京都渋谷区渋谷3丁目、JR「渋谷」駅新南口から徒歩3分に位置する。建物は地上12階地下1階、延床面積1万4361・82㎡の賃貸オフィスビル。開発コンセプトは「OUR PLACE.OUR STORY.『らしさ』あふれる、わたしたちのオフィス」。屋上にルーフテラスや共用ラウンジなどを設け、各階専有部にはテナント専有テラスやキッチン等を設置できる水回り設置可能エリアを構築。入居テナントのコミュニケーションを促進し、多様な個性が交わり創造性があふれる空間を提供する。
オフィスは基準階貸室面積が約1000㎡(約302坪)。空調設備は1フロア16分割で制御可能。照明設備は画像センサーを用いることで、高精度で適正な照度の自動コントロールを実現した。水回り設置可能エリアは窓側に構築。テナント専有テラスと相互連携した活用も可能である。12階にはテナント共用ラウンジの「Sora Lounge(ソララウンジ)」と、ルーフテラス「Sora Terrace(ソラテラス)」を整備。「くつろぎのサードプレイス」をキーワードとした空間で、テラスはラウンジと一体利用できる。シーンによって使い分けられるようにゾーン配置や高低差をつけ、空間の広がりや眺望を確保できるような空間とした。
省エネ・環境負荷低減施策としては、センサーによる照明・空調の自動制御や中央管理式空調換気システム、太陽光発電設備などを採用。消費する全電力に再生可能エネルギー由来の電気を導入することで、ビル全体のゼロカーボンを実現。環境認証ではBELS最高ランク5つ星の評価を受け、「ZEB Ready」認証も取得している。またBCP対策としては、新耐震基準の1・5倍以上の耐震性能を確保した国内初の制振システム、2回線受電、72時間対応非常用発電機、蓄電設備を採用。入居テナントの安心・安全を確保した。
アメニティも充実させた。各階トイレは気分転換やストレッチ等、様々なシチュエーションに応じて活用できるつくり。女性トイレには多目的ブースやパウダーカウンター等を備えたほか、12階には多目的に利用できるオールジェンダートイレ、各階では車いすでも入れるバリアフリートイレを設置している。
26日のプレス向け内覧会では藤野研一社長が登壇。藤野社長は「2019年に建設地の既存ビルを取得したことから計画が始まりました。首都圏では『関電不動産八重洲ビル』に続き、当社単体では2棟目の新築オフィスビルの開発となります。当社は今後も首都圏での開発を積極的に展開していく方針です。今回の中規模ビル開発に加え、現在工事中の『虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業(業務棟)』のような大規模開発、小規模開発などを組み合わせながら事業を拡大させていく計画です」と語った。ちなみに小規模ビルの開発としては、現在日本橋茅場町2丁目で進行中。地上9階・延床面積約1800㎡のオフィスビル建設を計画しており、外装の一部を木質化することや一部フロアのセットアップオフィスも予定する。竣工は2025年10月を予定する。