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三井不動産 毎日新聞の新聞販売店を賃貸住宅へ再生
2024.03.18 10:25
毎日新聞(東京都千代田区)と三井不動産(東京都中央区)は、共同で推進していた毎日新聞の所有建物を賃貸住宅へ再生する事業を竣工させた。
立地は東京都板橋区高島平。地下鉄「西台」駅から徒歩12分。建物は築26年の元新聞販売店で、敷地面積約230㎡、延床面積約490㎡、建築面積約150㎡、RC造地上4階建て。1階は事務所・作業室、2階は管理人住居、3階と4階は配達員寮室として利用されていた建物を、14戸の賃貸住宅に改装した。
事業は、「リファイニング建築」を用いた三井不動産の「老朽化不動産再生コンサルティングサービス」を活用。同サービスを適用した建物一棟のコンバージョンは初。
改装は大規模なもので、間取り変更を実現するため、エントランス位置を変更。躯体壁の一部を撤去するとともに、外観や居住性に影響の少ない位置に耐震壁を増設。1階ピロティと2階の一部バルコニーを専有部に取り込み、賃貸面積を増床。エレベーター、オートロック、宅配ボックスも新設した。さらに、耐震補強計画の信頼性の向上のため、第三者機関より耐震判定書を取得している。
「リファイニング建築」は、青木茂建築工房(東京都港区)代表の建築家・青木茂氏が提唱する建物再生手法。既存躯体に補修と補強を施し、既存建物の80%以上を再利用することで、建替えと比較して工事費を低減。建物の事業性能の向上が図れるとともに、工事に伴い排出されるCO2は70%以上は削減できるという。役割を終えて建物の老朽化が進み、収益を生まない状態が続いていた元新聞販売店に「リファイニング建築」を適用することで、収益化を実現した。
毎日新聞と三井不動産は事業を通して、脱炭素社会の実現と社会構造の変化に伴い従来用途の継続が困難となった建物の再生を行い、様々な社会課題の解決に貢献するとしている。