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ボルテックス フロアごとに異なる施工会社が内装工事「VORT六本木一丁目」5フロアをセットアップオフィス

2024.05.27 12:25

 「区分所有オフィスR」を主軸に資産形成コンサルティングを展開しているボルテックス(東京都千代田区)は、今年1月に取得した「VORT六本木一丁目」の5フロアで内装を施した。それぞれ異なる施工会社がデザインを担当。多様化する価値観や働き方に応えるオフィスとなった。
 「VORT六本木一丁目」は、東京メトロ南北線「六本木一丁目」駅から徒歩3分の六本木通り沿いに立地する新築オフィスビル。昨年9月に大和ハウス工業が建設した14階建ての同物件をボルテックスが取得。ガラス張りのファサードとブラウンを基調としたグラデーションの外壁が目を惹くテナントビル。延床面積は2599・31㎡。1階の専有面積は106・90㎡(32・33坪)で、用途は店舗。2~14階はオフィスとなり、3~14階は148・02㎡(44・77坪)。2階のみ若干大きく、162・85㎡(49・26坪)となる。敷地内に駐車場は5台。エレベーターは2基が設置されている。
 今回同社は2~6階の5フロアで、什器及び内装を施したセットアップオフィスを実施。それぞれ施工会社は異なり、2階はイルミナ(東京都渋谷区)。3階は47内装(東京都渋谷区)。4階はTOPPAN expace(東京都文京区)、5階はグットライフ(東京都中央区)、6階はティーワイオー(東京都葛飾区)が行った。2階のイルミナは、エレベーター降りて直ぐの正面に都心及び港区を中心としたマップをデザインした。発展・進化し続ける六本木エリアを描きながら、同地を好むクリエイティブな企業やデザイナー等に好まれる落ち着いたデザインで執務室内を構築した。一方3階の47内装は、入居テナントの就業者やクライアント等の訪問者を迎える受付周辺に注力している。十分な執務スペースや会議室の確保など、就業者の使いやすさを追求したオフィスとなっている。
 4階のTOPPANは、コンセプトを「Forme Office(自分/会社のために(For me)形を変える(Form)オフィス)」と定め、その通りに仕様やニーズによって変化が可能なつくりとしている。2階3階と異なり、窓側にソファー席を設置するなど他とは違ったレイアウトとなった。5階のグットライフと6階のティーワイオーは、前述の3社とは違い、住居空間や住居仕様に寄せたレイアウト及びデザインとしている。5階のグットライフはWell―being(肉体・精神・社会的な健康)にフォーカスを当て、安心して働くことができるオフィスを目指した。在宅を経験したワーカーはリラックスしながら働く環境に慣れているため、従来の無機質な堅苦しいオフィスではなく、自然光や素材感を生かしたマテリアルを採用。働き方に対しても柔軟に対応できるワークススペースを取り入れて、健康的なオフィスをつくった。6階のティーワイオーは機能面にデザインとアレンジを加え、「暮らすように働く」というイメージで空間を構成。自宅やオフィスではない新たな働く場、感受性が刺激されるサードプレイスとして相応しい空間となるよう、木やモルタルの素材感、色使いや照明計画などで空間の質を高めた。
 今回のセットアップでは、小上がりをつくるオフィスが複数見られた。緩くオフィスを分けることができ、完全な間仕切りとは違い圧迫感は感じにくい。デスクワークを行う執務スペースと、軽い雑談も交えたグループワークや休憩にも利用できる小上がりのスペースとしての使い方が可能だ。木目調を採用するなど、居心地の良さも意識している。また照明にこだわる、利便性も追及したオフィスが多い。時間帯によって照度や色合いを変化させ、集中度や作業スピードにも影響を与える工夫が見られた。
 リーシング業務担当の木塚健太郎氏は「1階は既に申し込みがあり、成約に向けて順調に進んでいます。ベンチャー・スタートアップに限らず、20名ほどの小規模企業のオフィスに適しており、施工業者をフロアごとに分けることでテナントには選択肢を与えることができました。検討段階ですが、ゆくゆくは6階より上の上層階でもセットアップオフィスを行う想定です。全フロアがセットアップオフィスとなれば、移転先を探す小規模企業やスタートアップ等にも注目されるでしょう」と語った。




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