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リノベる 中古マンション事情&トレンド解説会

2024.07.15 11:37

「暮らしの体験価値」が鍵 スペパ・タイパ重視の案件増
 リノベる(東京都港区)は先月20日、中古マンション再販市場とリノベーションに関するトレンドの解説会を開催した。
 中古マンションの市場は、ここ数年で急激な成長を遂げている。不動産経済研究所のデータによると、2023年における首都圏の中古マンションの成約件数は3万5987件。新築の供給戸数を1万近くも上回り、その差は拡大傾向にある。背景として、新築物件の価格高騰、築年数よりも広さを重視する顧客属性の変化、環境配慮への意識の高まりなどが考えられる。
 自宅のオーダーリノベーション「リノベる。mine」、リノベ済み再販マンション「リノベる。U」を展開するリノベるでも、ニーズの動向が変化しているという。現在、ユーザーの65%以上が築31年以上の物件を選択。REINS発表の首都圏の中古マンション成約に占める築31年以上の割合が31・9%なのと比べ、約2倍の需要を拾っていることがわかった。
 背景にあるのが新耐震基準物件のストック増加。現在の新耐震基準は1981年6月に施行され、初期に申請が出された物件は築40年を超えている。2000年代前後にはマンションの大量供給があり、それらも築20年が経過。加えて20代の持ち家ニーズ増加、築年数を妥協して広さを確保したいというニーズも後押しし、リノベーションの需要もさらに高まりつつある。
 リノベるでは住宅市場動向と同社のデータをもとに、「『暮らしの体験価値』重視の住まい選び」が、昨今のキーワードとなることを指摘する。会の後半では、これまでの実績を踏まえて住まいの事例を取り上げながら昨今のトレンドについて具体的に触れた。
 トレンドのひとつとして挙げたのが「タイパ」。共働き世帯の増加などを背景に、家事などの「つらい時間」を半減させられるよう、水回りや洗濯などは1カ所に集約する傾向が見られる。また、昨今はファミリークローゼットの人気が高く、どの部屋からもアクセスしやすいように家の中心に多機能ファミリークローゼットを置く配置もトレンドだ。
 加えてテレワークの浸透、物件のコンパクト化によるスペースパフォーマンスへの意識も高まっている。ウォークインクローゼットとワークスペース、寝室と収納など、用途を兼用することで、意味を持たないスペースを減らす間取りが主流になりつつある。
 ほかにもインテリアや造作家具のニーズ、居場所の分散等、新時代のライフスタイルに合わせて住まい環境の需要は変化している。ホームソリューション本部 デザインソリューション部の本多史弥氏は「今はリノベーションに対するお客様の関心が非常に高い。リフォーム業界では500万円を超えると大規模リフォームとして扱われることが多い中、リノベるの持ち家リノベーションでは平均価格が1000万円を超えています。これまでは古くなった内装をきれいにすることがメインでしたが、今は自分たちに合うように、間取りから変更する要望も増えている印象です」とまとめた。

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