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森トラストが訪日客動向に関するメディア説明会を開催 インバウンドはアフターコロナで急成長・年間7兆円も視野に

2024.07.22 11:34

 森トラスト(東京都港区)は今月16日、訪日客動向に関するメディアミーティングを「東京エディション銀座」で開催した。
 同社によれば、訪日外国人客数の推移は2019年で約3188万人、新型コロナが5類に移行した23年が約2507万人。24年度は約3450万人と予測し、インバウンド需要が過熱したコロナ前を超える見込みとしている。
 訪日外国人旅行消費額は2019年が累計4兆8135億円、23年が5兆3045億円とアフターコロナで急成長。24年は6兆9200億円と前年比30・4%増の予測を立て、インバウンド消費は7兆円も視野に入ると指摘する。
 成長を続ける観光産業だが、一方では複数の課題が残る。1つは労働力の確保。宿泊業の雇用者が2019年平均の59万人に対し、23年平均は54万人。年収の壁や総労働時間の確保、外国人受け入れ態勢の構築が急務とされている。
 2つ目が2次交通の確保。国土交通省は今年、タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や一般ドライバーが有償で運送サービスを提供できる新制度「自家用車活用事業」を発表。4月より運用が開始された。地域における移動の「足不足」解消を目指したものの、先行開始した東京・神奈川・愛知・京都の4地域での充足率は1・8~9・2%に留まり、利用者ニーズを満たすには程遠い水準となっているのが現状だ。
 3つ目が財源の確保。昨年5月に新型コロナが5類に移行したのを機に、外国人観光客が激増。オーバーツーリズム関連の報道は2019年の257件から2023年には1200件と4倍にまで膨れ上がっている。
 代表取締役社長の伊達美和子氏は、「観光庁の予算がインバウンドの増加に合わせて増加傾向であるのに対して、地方自治体の観光予算は伸び悩んでいるのが現状です。地方独自の観光財源確保のためには、宿泊税の導入、公共施設のプライシングが必要だと感じています」と独自の観光財源の必要性を指摘した。
 一方で、観光産業のポテンシャルの高さに対する期待の思いも力強く伝える。
 「しっかりとニーズを取り込むことができれば、観光産業の未来は明るい。一方で労働力不足、2次交通不足、財源不足がボトルネックになってきつつある。2030年の政府目標である訪日外国人数6000万人を目指すのであれば、バックキャストでロードマップの作成も必要になるでしょう」と結んだ。

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