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「健康住宅Lively7認証 高齢者住宅版」の提供開始 高齢者住宅選びの指針形成に

2024.10.07 12:01

住宅向け認証プログラム 7領域30項目の評価項目
 山下PMC(東京都中央区)が開発・提供する住宅向けの認証プログラム「健康住宅Lively7(ライブリーセブン)認証」。同認証の提供開始からまもなく2年を迎え、認証を取得する事例が増加する中で、今年7月からは新たに「健康住宅Lively7認証 高齢者住宅版」の提供も開始した。
 「健康住宅Lively7認証」は、ウェルビーイングに対する人々の関心に応え、心身の健康に寄与する快適な住環境に着目した認証プログラム。心身の望ましい状態に影響を及ぼす7つの領域を定義し、それらに寄与する住環境の新たな「ものさし」として開発した。疲労医学、地域社会医学等の第一線で活躍する研究者・専門家で委員会を組成し、感覚、運動、認知、生体恒常性・代謝、活力、心の健康、衛生の7領域30項目の評価項目が策定されている。様々なエビデンスや研究者・専門家の知見をもとに、信頼性のある基準を作成したことで、物件の魅力発信や住宅選びの一助になっている。
 執行役員の合内祥之氏は「当社は建築分野におけるプロジェクトマネジメント/コンストラクションマネジメント(PM/CM)サービスを展開しています。社会が成熟する中で、建物のデザイン性や耐久性だけでなく、環境負荷と並んで、『人の健康』がキーワードとして重要視されていることが分かりました。健康に関する認証には『WELL認証』などがありますが、プロ向けの認証が多く、特にコスト面で住宅分野では取り組みのハードルが高い傾向にあります。そのため、『住宅向け』として取得しやすい、『健康に寄与する住環境』の新たなものさしをつくることにニーズを感じ、このプログラムを策定しました」と説明した。

初は新築分譲マンション グレーシア湘南平塚海岸
 初の認証物件は、相鉄不動産(横浜市西区)の新築分譲マンション「グレーシア湘南平塚海岸」。JR東海道本線・湘南新宿ライン「平塚」駅から徒歩17分の平塚市龍城ケ丘に立地。延床面積は8769.69㎡で、総戸数100戸。認証グレードは最高位の「プラチナ」。評価理由は東京への通勤圏でありながら目前に海岸が広がり、自然環境が感受できる共用部(屋上)のオーシャンビューテラスをはじめ、外出・外部への移動を促すシェアサイクルの提供があることや、心身機能・生活機能に最適な水質(専有部内の全ての蛇口から浄水を供給)や加齢に対応した段差のない動線設計など、住まう人の心身の健康や活力の向上に寄与する様々な計画上の工夫が総合的に評価されたことによるもの。ちなみに同社の物件では「グレーシア横浜十日市場」でもプラチナ認定を取得している。また戸建て住宅では、小田急不動産(東京都渋谷区)が「リーフィア狛江 蒼翠の街」でゴールドを取得している。
 「健康住宅Lively7認証」を展開する中で、より高齢者の安全性や暮らしやすさ等への対応のニーズが高いことから、「健康住宅Lively7認証 高齢者住宅版」が開発された。日本の高齢化と高齢者の独居問題という社会課題が注目されて久しいが、特に高齢者の社会的孤立は、社会参加や活動機会の減少等によって生活不活発となり、食欲低下・筋力減少などの多様な症状と進行に陥るリスクがあると言われている。「健康住宅Lively7認証 高齢者住宅版」では、通常版に加えて安全性、利便性、心身活動支援・コミュニティ支援など、高齢者特有のニーズを加味して評価指標に反映した。
 認証の取得の手順は、物件のオーナー等が同社へ評価を依頼。同社では認証プログラムに基づき、物件や図面情報を見ながら評価し、認証委員会へ諮問する流れで最終的な評価と認証グレードが決定する。評価の過程では「あと○点でプラチナ、ゴールドと認定できます」とアドバイスを得ることができ、ハード・ソフトの両面でバリューアップや機能性向上も提案する。合内氏は「この認証により、高齢者向け住宅市場においてオープンイノベーションを促したり、居住者にはより優れた選択肢を提供することで、健康寿命への貢献と、高齢者の心身の健康に寄与する快適な住環境の普及につながるきっかけになれば嬉しく思います」と語った。




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