週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

「大阪マルビル」建替え計画が本格始動 ホテルやオフィス、ホール・舞台、商業施設などの複合施設に

2024.11.25 12:21

 大和ハウス工業(大阪市北区)は、「(仮称)大阪マルビル建替プロジェクト」を本格始動した。工期は2025年冬~2030年を予定している。

 「大阪マルビル」は、大阪府の超高層ビルの先駆けとして1976年に竣工。円筒形の形状から大阪のランドマーク的な存在として親しまれてきたが、竣工から50年近くが経過し建物・設備の老朽化や周辺施設との競争力の低下が課題となっていた。2022年5月に建替えを決定し、今年9月に地上部分の解体を完工していた。
 建替え後のビルは、敷地面積約3246㎡、延床面積約7万4000㎡、鉄骨造(地上)鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、鉄筋コンクリート造(地下)地上40階地下4階の複合ビル。最上部を展望スペースやミュージアムとし、高層階にラグジュアリーホテル、中層階に都市型ホテルとイノベーションオフィスを導入。低層階にはコンサートホール・舞台、商業施設、地階には駐車場を設ける予定。
 外観は旧建物の形状を継承する。大樹のような円筒形状はガラスカーテンウォールで構成し、外装には樹木の枝葉をイメージした緑化ルーバーを計画。地上には半屋外のピロティ(屋根下空間)と、ピロティと連続する「球体デジタルアトリウム」を設け、地下街「ディアモール大阪」と接続する。
 「球体デジタルアトリウム」は、地下と地上を結ぶ結節点として「大阪」駅周辺の新たなスポットとする。地下2階から地上4階に達する巨大な球状の空間で、球面の内側をLEDディスプレイとしてデジタル映像を360度投影する。また、アトリウム建物頂部には旧大阪マルビルの「回る電光掲示板」を継承。「大阪」駅周辺からも視認できるよう、デザインの検討を進める。
 ホテルはラグジュアリーホテルと都市型ホテルを誘致し、2種類のホテルで総客室数約280室を計画。
 イノベーションオフィスには、世界トップクラスのイノベーション拠点を形成する計画。ワークスペースを設置し、入居するスタートアップの成長を支援するプログラムやコミュニティの提供を検討している。
 コンサートホール・舞台は、クラシックコンサートを主にしながら、舞台・客席の規模を変更できる設備を採用する。商業施設は旧大阪マルビルの雰囲気を継承する空間を計画し、施設の用途と親和性のある店舗を誘致する予定。
 環境対策としては、建物の遮断熱性能向上、自然エネルギーや省エネ技術の採用で、ZEB認証の取得を目指す。また、内外装には木材の採用を計画している。
 BCP対策としては、非常用発電機やコージェネレーションシステム、雑用水利用などによる電力や水のバックアップを行う。
 そのほか、地域の魅力や活力の向上に向けた整備も予定している。ピロティと連続する周辺地域の歩行環境改善や修景なども検討。地下には四つ橋線「西梅田」駅に接続する地下通路を新設し、改札口も設ける予定。また、低層部の壁面には緑化ルーバーを設置。計画地周辺の緑化も推進していく。
 大和ハウスでは、「本プロジェクトが大阪の新たなランドマークとして、地域に根差し、皆様に愛される施設となるよう推進していきます」としている。




週刊不動産経営編集部  YouTube