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新規賃借予定企業の約6割が「面積拡大」意向 森ビルが「2024年オフィスニーズに関する調査」を発表
2024.12.09 12:30
森ビル(東京都港区)は5日、「東京23区オフィスニーズ調査」の2024年版を発表した。
同調査は、オフィスマーケットの需要動向の把握を目的に2003年より継続して行っているもの。調査期間は2024年9月2日~30日。調査対象は、主に東京23区に本社が立地する企業で資本金上位の1万868社。
今回の調査で最も大きなトピックスは、新規賃借予定のある企業の約6割が「面積拡大」と回答したこと。「拡大予定」は約58%で昨年の55%から増加、「縮小予定」と回答した企業は18%で昨年の25%から大幅に減少している。
「新規賃借予定あり」と回答した企業に理由を尋ねたところ、「立地が良いビルに移りたい」との回答が最も多く全体の約32%、2位は「新部署設置、業容・人員拡大」で約28%。2022年調査で1位だった「賃料の安いビルに入りたい」は4位となり、「働き方の変化に応じたワークプレイスの変更」を選ぶ企業も減少傾向にある。これはアフターコロナで働き方の変化への対応が収まりつつあり、今後の成長を見据えた先行投資を検討している企業が増えたことによるものと考えられるという。
新規賃借する場合の希望エリアに関する問いでは、「丸の内」、「大手町」、「日本橋」、「新橋」、「虎ノ門」が多くの票を集めた。大規模再開発事業が進む主要ビジネスエリアへの人気が安定して高いことがわかる。
また2024年の賃料改定状況については、直近の賃料改定で賃料増額と回答した企業は7割強と、増加の傾向にある。営業本部 オフィス事業部 営業推進部 部長の竹田真二氏は「コロナ禍の経済停滞により賃料も減少傾向にありましたが、経済の回復とともに貸主側も強気の賃料改定に踏み切るようになっています。空室率の低下と増賃の傾向は、来年再来年と続くのではないかとみています」と分析する。
加えて調査時点での出社率の平均は78%、出社率が80%以上と回答した企業の割合は前回調査時から5ポイント上昇し、出社回帰の傾向が強くなっていることがうかがえる。コロナ禍以降のオフィス内機能のオフィス面積に占める変化については、「業務支援エリア」、「オープンなミーティングスペース」、「飲食・ウェルネスエリア」について「新規・面積割合増加」したという回答が、「面積割合現象・廃止」を上回っており、従業員の生産性向上、コミュニケーション強化、ウェルネス機能の拡充を図る傾向はますます強くなっていくと予想される。