週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

「国際ビル・帝劇ビル建替計画」始動 三菱地所/東宝/出光美術館が周辺地区の都市計画手続きを開始

2024.12.23 11:43

 三菱地所(東京都千代田区)と東宝(東京都千代田区)、出光美術館(東京都千代田区)は、「(仮称)丸の内3-1プロジェクト(国際ビル・帝劇ビル建替計画)」の計画概要を公表した。工事期間は2025年度~2030年度を予定している。2022年9月に建替えを発表してから2年あまりを経てようやく計画が具体化した。

 計画地は東京都千代田区丸の内。日比谷通りと丸の内仲通りに挟まれた約1・4の街区で、現在は「国際ビル」と「帝国劇場(帝劇ビル)」が一体となったビルが立っている。
 計画では、敷地面積約9900㎡、延床面積17万6000㎡、地上29階地下4階の複合ビルを建設。劇場や美術館、オフィス、商業施設などを擁し、日本の誇る芸術文化を発展させる重要な拠点として整備するという。
 全体設計は三菱地所設計が担う。外観は歴史的な高さ31m(百尺)の軒線を継承し、高層部は一定のセットバックを行うことで低層部の既存の軒線との連続性を確保。皇居外苑への眺望を生かした低層屋上テラスを整備することにより、都心の豊かな緑を享受できる自然と調和した空間を提供する。低層部の外装デザイン提案には建築家・小堀哲夫氏を起用。外観は、皇居からのパノラマ景観を意識したスカイラインを形成しつつ、まち並みに調和しながら特徴を持つデザインとする。
 6~29階にはハイグレードオフィスを整備。国際ビジネス拠点である大手町・丸の内・有楽町地区の業務集積をさらに進める。
 低層部は帝国劇場と出光美術館を整備するほか、食やショッピングを楽しめる施設を設ける。帝国劇場はロビーホワイエの社交場的機能を強化するとともに、観劇を楽しめる空間整備や取り組みを実施する。出光美術館は日建設計(東京都千代田区)が担当。展示エリアを拡充し、東洋・日本古美術の魅力や独自性を国内外に発信するとともに、文化発信プログラムやアフターMICEメニューの提供なども行う。
 低層部屋上には、皇居外苑に面した一般開放される屋外テラスを整備。歴史的・公的空間や文化施設などで催事を開催することで特別感を演出する「MICEユニークべニュー」としても活用することを想定している。
 地下には、JR「有楽町」駅と接続する東西地下通路を整備。建物直下に位置する東京メトロ有楽町線「有楽町」駅と都営三田線「日比谷」駅にはまちの雰囲気を感じられる空間をつくり、利用者がより利用しやすい動線を整備する計画としている。
 今後は、東京圏の国家戦略特別区域の都市再生プロジェクトとして、内閣総理大臣による区域計画の認定に向けて、東京都および千代田区の都市計画審議会や国家戦略特別区域会議等の手続きが進められていくという。




週刊不動産経営編集部  YouTube