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「日証館」が都の歴史的建造物に 1928年竣工現役のオフィスビル

2025.01.13 11:57

 平和不動産(東京都中央区)は、保有するオフィスビル「日証館」が「東京都選定歴史的建造物」に選定されたと発表した。
 「日証館」は基準階面積760㎡、延床面積7817・46㎡、SRC造地上7階地下1階建て。東京株式取引所によって1928年に建てられた。設計は横河工務所(現・横河建築設計事務所)で、同設計事務所の代表的建築作品とされている。ビルが建築される前は渋沢栄一の邸宅が建っていたが、関東大震災で焼失。その後、震災により事務所や店舗を失った証券会社などに向けたオフィスビルとして「日証館」が建設された。1946年には取引所の市場館・本館がGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に接収されたため、東京証券取引所が設立される1949年5月まで、1階で取引所取引に代わる集団取引が行われていた。現在もオフィスや店舗などとして賃借されているほか、平和不動産の本社オフィスも入っている。
 「東京都選定歴史的建造物」は、歴史的な価値を有する建造物のうち、景観上重要なものとして東京都景観条例に基づき東京都知事が選定した建造物。2024年12月24日現在、「日証館」をはじめ105物件が選定されている。「日証館」は古典様式風の三層構造・基壇の大きな石貼り・入口と最上階のアーチ窓が並ぶ特徴的な外観を持ち、こうした重厚な意匠が、証券会社の建ち並んだ日本橋兜町の歴史的景観を今に伝えるものとして評価され、選定されたとしている。
 平和不動産では、「歴史的景観を守り、親しみ、育て、さらに良好な景観づくりに生かしていくことを目的としている本制度への選定は、この街のかつての景観を今に伝える『歴史的価値』を残すことと、新たな価値を創造する場づくりの推進の両立を後押ししてくれる」とコメントしている。




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