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積水ハウスが耐震化フォーラムを開催 独自工法を普及する「SI事業」に3社の加盟を発表

2025.01.13 11:47

 積水ハウス(大阪市北区)は今月8日、「耐震性向上フォーラム ~良質な住宅ストックを全国へ~」を開催した。会の前半では積水ハウス代表取締役社長執行役員兼CEO仲井嘉浩氏が登壇。戸建て住宅における耐震性能の重要性と、同社が進めている耐震工法「ダイレクトジョイント工法」の特徴について説明。会の後半では、同社が2023年から進める共同建築事業「SI事業」に3社のパートナー企業が参画したことを発表した。
 地震大国と呼ばれる日本では、耐震に関する建築基準法の見直しが幾度も行われてきた。1981年に新耐震基準、今年で30年を迎える阪神淡路大震災の被害を受けて、2000年に新耐震基準の強化が適応。半壊、倒壊しない頑丈な家づくりが求められてきた。 現在は国内の住宅ストックの71%が新耐震基準に対応。だが約840万戸の住宅はいまだ新耐震基準以前の物件であり、これらの耐震性能の強化が課題とされてきた。
 一方で、新耐震基準への適応が安心材料とも言い切れない。仲井社長は建設省(当時)が発表した阪神淡路大震災のデータを引用し、「新耐震基準以降に建てられた住宅のうち、無被害が46%、軽微な損傷が15%。新耐震基準の思惑通りです。ですが、新耐震基準でも中破(完全にクラックと構造体がやられており、住んではいけないレベル)が15%、倒壊が8%を占めており、23%が大きな被害を受けているのも事実です」と警鐘を鳴らす。
 こうした現状の中、今後求められるのは耐震等級3への適応と耐震性の高い家づくりの技術だ。積水ハウスで独自開発したダイレクトジョイント工法は、柱をアンカーボルトで2本の柱に直接固定することが特徴となる。基礎と躯体を一体化することで、従来の耐力壁の2倍の強度を実現。この先進的な技術が評価され、日本建築センターより「BCJ評定」を取得した。
 今回、SI事業に新たにトータテハウジング(広島市中区)、悠悠ホーム(福岡県大野城市)、土屋ホーム(札幌市北区)の3社が提携。パートナー企業が全8社になるとともに、東北から九州まで施工エリアの拡大を実現した。ダイレクトジョイント工法の普及とともに、地域に根差した耐震施工を目指していく。
 パートナー企業の1社である悠悠ホーム代表取締役社長の内山賢一氏は「熊本地震では、新耐震基準の4軒に1軒が倒壊・大破・中破による大きなダメージを受けました。積水ハウス様の技術を実施することで、より良い家作りや耐震性能の向上につながると考えております」と意気込む。
 昨今、全国において数年おきに発生している大地震。昨年1月には能登半島で最大震度7を観測する大地震が発生し、能登、輪島、珠洲をはじめ断水や地割れ、建物の半壊や倒壊などの多くの被害をもたらしている。建築技術の躍進とともに、物件オーナーによる大地震への備えは必要不可欠と言えるだろう。




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