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「東映会館」建替えのため7月で閉館 店舗やホテルなどが入るビルに再開発へ

2025.01.20 12:05

 東映(東京都中央区)は16日、同社が所有し運営する映画館「丸の内TOEI」を、再開発のため今夏に閉館すると発表した。最終営業日は7月27日。

 「丸の内TOEI」の立地は東京都中央区銀座。1960年9月20日に竣工した東映の現本社ビル「東映会館」内に、「丸の内東映」と洋画封切館である「丸の内東映パラス」としてオープン。2004年に名称を「丸の内TOEI」に統一し、現行の2スクリーン体制とした。エントランスが道路に面しており、日本最後の「ロードサイドシアター」としてこれまで多くの自社作品の興行やイベントを実施。東映では「銀座地区、ひいては映画業界全体の盛り上げに寄与してきた」と振り返る。
 「丸の内TOEI」と東映の本社が入る「東映会館」は敷地面積1100・81㎡。東映は2024年5月の取締役会で建替えと再開発を決定していた。開発期間は2025~2029年を予定し、ホテルや店舗からなるビルに建替える計画。東映本社は東京都中央区京橋のオフィスビル「京橋エドグラン」に移転する。
 東映では、「丸の内TOEI」の閉館に向けた関連事業を「全社プロジェクト」として進めていくことも決定。「劇場へかかわる全ての皆様への感謝」と、「『映画館で映画を観る』ことの大切さを改めて訴求すること」をコンセプトに様々なイベントを実施。専用ウェブサイトもオープンするなど、グランドフィナーレを彩るという。
 東映の吉村文雄代表取締役社長は「入社当時はシネコンも存在せず、まだまだ全国に東映の直営館が数多く残っておりました。現在のような座席指定や入替制もなかったため、大ヒット作品を立見で観ることも珍しくなく、観客の熱気を肌で感じることができた時代でした。シネコンと違って直営館ではどの映画会社も自社作品を中心に上映しており、各社のカラーが劇場の雰囲気にも色濃く反映されていました。お子様で賑わう春休みと夏休みを除けば、アウトロー的で不良っぽいのが東映の劇場のカラーであったように感じます。残念ながら最後の直営館である『丸の内TOEI』を閉館することとなりましたが、皆様の記憶に残るような賑やかな終幕を計画しております。是非足をお運びください」とコメントしている。




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