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「帝国ホテル京都」26年開業へ 登録有形文化財の「弥栄会館」をホテルに再生
2025.02.03 11:18
帝国ホテル(東京都千代田区)は、京都・祇園甲部歌舞練場敷地内の「弥栄会館(やさかかいかん)」の一部を保存活用し、ホテルへ再生する取り組みを推進している。29日、再生で誕生する新たなホテルの名称を「帝国ホテル京都」に決定したと発表した。竣工は10月、開業は2026年を予定している。
国の登録有形文化財で京都市の歴史的風致形成建造物でもある「弥栄会館」は、老朽化や耐震性の問題により本来の用途である劇場を含む大部分が使用されなくなっていた。
同会館を改装する「帝国ホテル京都」は、敷地面積3623・17㎡、延床面積1万804・24㎡、鉄筋コンクリート造・鉄骨造地上7階地下2階、客室数55室となる。ホテル内にはレストラン、バー、ウェルネス施設(スパ、プール、フィットネスジム)などを設ける。
再生計画では、同会館のシルエットや特徴的な意匠を引き継ぐために、外壁や構造体を保存。外壁タイル・テラコッタは保存しつつ再利用し、銅板屋根や飾り金物なども復元する。
外壁は景観継承の観点から一部を残す必要があったほか、施工中の安全性も考慮し構造体の解体と補強が並行して行われた。保存する南西側の外壁のタイルは、剥落防止措置を行いそのまま残した部分と再利用して貼り直した部分で構成される。
屋根は銅板を使用してオリジナルの形状と寸法を忠実に再現。時間の経過と共に金→茶→黒→緑と変化し、将来的には工事前のような屋根色になることを想定している。また、軒丸の「歌」の刻印も復元する。
壁面の装飾部材であるテラコッタのレリーフは、状態の良い物をアンカーピンを打ち付けてそのまま固定。修復が必要なものは一度取り外し塗装を施し再利用している。