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「虎ノ門アルセアタワー」竣工 エリア最大級11万㎡超のオフィスを供給

2025.02.17 12:09

 虎ノ門二丁目地区再開発協議会が進めてきた「虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業」における業務棟「虎ノ門アルセアタワー」が14日に竣工を迎えた。

 同事業は東京都港区虎ノ門の虎の門病院、国立印刷局、共同通信会館を含む街区を一体的・段階的に開発するもので、高機能オフィスの整備、周辺地域をつなぐ歩行者ネットワークの形成、都市防災機能の強化、都市環境の向上などを目的とする。都市再生機構(横浜市中区、UR都市機構)を代表施行者とし、保留床取得者として日鉄興和不動産(東京都港区)、第一生命保険(東京都千代田区)、関電不動産開発(大阪市北区)、東京ガス不動産(東京都港区)、九州旅客鉄道(福岡市博多区)、大成建設(東京都新宿区)、共同通信会館(東京都港区)などが参画している。
 開発地は東京都港区虎ノ門2丁目の約2・9ha。霞ヶ関エリアに近接するとともに、外堀通り、桜田通り、六本木通りなどの幹線道路や地下鉄銀座線「虎ノ門」駅、日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅、南北線・銀座線「溜池山王」駅にも近接する、交通利便性に優れた場所に位置する。
 竣工した「虎ノ門アルセアタワー」は敷地面積約2万2500㎡、延床面積約18万600㎡、鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄筋コンクリート造)、地上38階地下2階。中高層部にオフィス、低層部に国際的なビジネス活動をサポートする業務支援施設や商業施設を整備。2階の歩行者デッキで周辺地域をつなぎ、自立性の高いエネルギーシステムの採用による災害対応や、敷地内や壁面に植栽を配置するなど環境にも配慮した高機能ビルとして開発した。名称の「アルセア」はタチアオイの学名から。歌川広重が「虎の門外あふひ坂(葵坂)」として描いた地であることにちなみ、タチアオイが群生していたといわれていることから名付けた。
 5~38階に整備したオフィスは床面積11万800㎡と虎ノ門エリア最大級の規模。天井高は2900mm、1フロア3300㎡以上を確保し、使いやすい整形と圧迫感の少ない快適な空間を提供する。
 3階にはシェアオフィス、カンファレンス、フィットネス、2階にバイリンガル対応のコンシェルジュ、1階に予約制の自転車置き場を配置するなど、国際的なビジネスをサポートするサービスセンターとして整備した。また、1~2階にはマルシェなどの商業施設も用意している。
 環境負荷低減への取り組みとしては、地域冷暖房とコージェネレーションシステムの連携などにより、エネルギーの効率的利用を実現。オフィスフロアで「ZEB Oriented」、建物全体で「CASBEE建築(新築)」Sクラスを取得した。
 有事の事業継続性にも配慮し、建物は官庁などと同程度の耐震性能を確保。停電時は非常用発電機とコージェネレーションシステムで電力を供給する。ガスの断絶に備えてオイルタンクも用意し、7日間の非常電力供給が可能となっている。また、街区内の虎の門病院と連携して災害時の治療・収容拠点としての機能も備え、エントランスやカンファレンスホールなどに軽症者約1500人を受け入れるほか、屋上ヘリポートからの重症者受け入れも行う。
 開発地内では、歩道の拡幅、歩行者デッキの整備などを行い歩行者ネットワークの形成を図るほか、周辺道路の拡幅やアメリカ大使館前の交差点改良など自動車交通の円滑化も進める。また、環状2号線の沿道を整備して街並みの連続性を創出。街路樹と一体的な緑化空間を形成する広場なども整備し、隣接する「赤坂インターシティAIR」から続く緑道も延伸。デッキ、屋上緑化、壁面緑化も含めると事業地区全体で約7500㎡の緑化面積を確保している。
 今後は2025年度中に共同通信会館の解体に着手し、都市基盤施設整備工事の完了を29年度、事業終了は30年度を予定している。




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