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東京主要5区 オフィス空室率は2.7% コリアーズがグレードAオフィスのマーケットレポートを発表

2025.02.17 11:39

 コリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)は、2024年10~12月期の東京ならびに大阪における主要オフィスエリアのグレードAオフィス(基準階面積概ね300坪以上の賃貸ビル)のマーケットレポートを作成。東京版は12日、大阪版は13日に公表した。
 東京では2024年の新規供給が7~9月期までにすべて竣工を迎え、当期の新規供給はなかった。一方で需要は堅調な状態を維持し、主要5区の空室率は2・7%まで低下した。シニアディレクター&ヘッドの川井康平氏は「遠方からの通勤がしやすいJR線沿線のエリアはいずれも空室率が低水準で、契約更新時に賃料の増額交渉が散見されるなど貸主優位の状況となっています」と話す。主要エリアでは空室が希少となっており、品川周辺の湾岸エリアなども大型移転ニーズの受け皿として人気を集めつつあるようだ。
 2025年は「TAKANAWA GATEWAY CITY」の「THE LINKPILLAR 1」をはじめ、前年比で約2倍の新規供給が予定されている。しかしながら堅調な需要は今後も底堅く、空室率は現在の状況から大きな変化は起きにくいと予測される。川井氏は「新築ビルではテナントの入居工事の長期化が顕著となっています。中には契約から1年経っても移転が完了しないというケースもあります。テナントは従来のビルと移転先の新築ビルとの二重契約を余儀なくされ、新築ビルの貸主はフリーレントの設定でテナントの負担に配慮している状況です。新築への移転が完了すれば二次空室が発生するため空室率の変化に影響を与える可能性があるものの、企業のオフィス拡張ニーズは旺盛で、極端な変化は起きにくいと見られます」と分析する。
 大阪でもオフィス市況の改善傾向が進んでいる。2024年は「グラングリーン大阪」など梅田エリアのプロジェクトが竣工・開業し、新規供給量が急激に伸びた。しかし需要がそれを上回る形で推移したことで、空室率・賃料ともに横ばいの安定した状況となっている。2025年以降は御堂筋沿線の淀屋橋や本町などで大型のプロジェクトが竣工を控えている。川井氏は「梅田は大量供給による市況へのインパクトは限定的で、新大阪は交通利便性の高さなどが改めて見直され空室率が低下しました。御堂筋沿いの淀屋橋・本町・なんばは、大阪に拠点を置く地場の企業に根強い人気を持つエリアです。特に直近は梅田の再開発が進み新築を中心に賃料ベースが引き上がったことで、相対的に淀屋橋・本町・なんばのオフィス賃料に値ごろ感が出てきています」と話す。大阪は新規供給量が今年から来年にかけて少ないだけに、旺盛な需要の中でひっ迫したマーケット状況がしばらく継続しそうだ。




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