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需要増加右肩上がりLM業務 空き予定の区画や「現空」抱えたオーナーからの依頼多い

2025.03.10 11:04

PM売買の相談も増加 他部署とも連携し展開
 オフィスの検索・仲介サイト「オフィスナビ」等を運営しているオフィスナビ(東京都千代田区)。拠点拡大やWEBサービスの拡充に加えて、ここ数年はリーシングマネジメント(LM)業務も右肩上がりだ。
 同社のLM業務は、ビルオーナーのビル経営を支援するアセットマネジメント事業部が行っている。主にテナントリーシングや物件の売買・管理業務などを担当しており、PM業務も請け負う。受託管理物件で空室が発生するとLM業務を開始。立地エリアや昨今の移転ニーズ、物件の特長・強みなども踏まえて、対象のビル・オフィスに合ったテナント誘致をサポートする。また管理物件以外で、客付けのみを行うLMも展開している。昨今は既存テナントの退去が決まっている空き予定の区画や、数カ月ほどリーシングを行っているが中々埋まらない「現空」を抱えたオーナーからの依頼が多い。
 東京本社 アセットマネジメント事業部の坪倉徹志課長は「当社は2021年からLM業務を行っております。ここ数年でLM業務と密接に関係するPM業務や売買についてもご相談が増加した結果、昨年6月に『リーシングマネジメント事業部』から『アセットマネジメント事業部』へと名称を変更しました。従前はLMのみの部署でしたが、最近ではPM業務の依頼も踏まえた問い合わせが多く、PMとLMを合わせての展開が増えています。これからは他部署との連携を生かしながらビルの資産価値を向上させ、オーナー様のビル経営を支援してまいります」と語った。
 オフィスナビが選ばれる理由に、前述にも記載した他部署との連携がある。アセットマネジメント事業部以外では、オフィス移転に関するサポート業務を行う「オフィスコンサルティング事業部」、オフィスの内装設計やデザイン等も手掛ける「ファシリティマネジメント事業部」、検索サイトのオフィスナビをはじめ、多彩なWEBサービスを運営する「物件データベース部門」がある。これら事業部が連携し、テナントのリアルな声や最新の情報を加味したリーシングプランをオーナーに提案できる。

成約賃料の値上げ成功 早期売却の事例も持つ
 またビルオーナーがセットアップオフィスを検討する場合、マーケットデータや内装デザインも含めて同社がトータルでサポートできる。社内に内装設計やデザイン等も手掛けるファシリティマネジメント事業部があることで、外部の企業を使用することなく、意思疎通が図れたセットアップオフィスを実現できる。中長期的な目線だけでなく、早期客付け後の売却も見据えた提案も可能。LMはオーナーの設定するゴール(最終目標)によって設計やスケジュールも異なる。仲介業務の実績を多く抱えるオフィスナビだからこそ提案できる。
 同社が4年前、東京都中央区に立地するオフィスビルでセットアップオフィスを手掛けたことがある。最近になり、再度同オフィスで内装工事を実施。4年前と現在では働き方の考え方、それらを踏まえた求められるオフィス機能が大きく違うため行った。早期にテナントが決まり、従前よりも新規成約賃料を値上げすることができた。また新築・11階建てのオフィスビルでセットアップオフィスを行った際は、オーナーが早期売却を目的としていた。「フロアごとに賃料で差を付けたい」との要望もあったため、オーナーの希望に沿ったセットアップを実施。見事早期売却につなげることができた。年々セットアップを実施する・参入する企業やオーナーが増えており、競合は増加傾向にある。新規成約賃料を周辺相場よりも5000~6000円ほど高く値付けできるが、競合が増えている状況からより緻密な戦略と事前準備が必要となる。昨今は貸室の半分や一部だけ設えを整えた「ハーフセットアップ」が好まれている。
 坪倉氏は「成約賃料を値上げして空室を埋めるためには、セットアップオフィスが好ましいでしょう。ただし、知見・実績を持った企業と協力しないとリーシングは上手く行かない可能性があります。さらに今後はLMやセットアップオフィスの知見や実績を生かして大阪や福岡などの地域でも展開していきます。単純な客付けではなく、確実性の高い・資産価値向上にもつながるLMを選択してはいかがでしょうか」と語った。




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