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公示地価、4年連続で上昇

2025.03.24 11:10

全用途で上昇、上昇幅も拡大
 国土交通省は18日、令和7年地価公示を発表した。同省では「景気が緩やかに回復しているなか、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いている」としている。

三大都市圏でも上昇 インバウンドも影響か
 今回の地価公示の全国平均では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも4年連続で上昇し上昇幅も拡大した。東京圏、大阪圏、名古屋圏の三大都市圏でも全用途平均、住宅地、商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅も拡大。東京と大阪では上昇幅の拡大傾向が継続しているが、名古屋では上昇幅がやや縮小した。地方でも4年連続で上昇したが、札幌市、仙台市、広島市、福岡市では上昇幅がやや縮小。その他の地域では概ね拡大傾向が継続している。
 土地の用途別の特徴としては、商業地では主要都市の店舗、ホテルなどの需要が堅調で、オフィスも空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることなどから地価上昇が継続。駅周辺などマンション需要との競合が見られる地域では高い上昇を示している。また、外国人を含めた観光客が増加した観光地では、引き続き高い上昇となった地点が見られた。再開発事業などが進展している地域でも、利便性や賑わいの向上への期待感などから地価上昇が継続している。
 住宅地では、低金利の継続などにより引き続き住宅需要が堅調で地価上昇も継続。特に東京圏や大阪圏の中心部などで高い上昇を示している。交通利便性や生活利便性に優れ転入者が多い地域でも、堅調な需要に支えられ比較的高い上昇が継続している。リゾート地・観光地でも、外国人向けの別荘・コンドミニアム需要や地元の住宅需要などを背景に、引き続き高い上昇となった地点が見られた。
 その他の地域では、大手半導体メーカーの工場が進出している地域で、関連企業も含めた従業員向けの住宅需要のほか関連企業の工場用地や事務所・ホテル・店舗等の需要も旺盛となっており、引き続き住宅地、商業地、工業地ともに高い上昇となっている。好調なeコマース市場による大型物流施設用地等に対する需要を背景として、高速道路等へのアクセスが良好で労働力を確保しやすい工業地でも高い上昇となった地点が見られた。一方、令和6年能登半島地震などにより大きな被害を受けた地域では、地価が大きく下落した。
 商業地の全国最高価格は東京都中央区銀座の「山野楽器銀座本店」で6050万円/㎡。2007年以降、19年連続で最高価格となっている。住宅地で全国最高価格となったのは東京都港区赤坂。価格は590万円/㎡で、2018年降、8年連続で住宅地の全国最高価格地点となった。
 価格の変動率が最も大きかったのは北海道千歳市幸町の「ホワイトビル」で、48・8%の上昇。変動率上位3位を千歳市内の地点が占めており、これは半導体企業・ラピダス(東京都千代田区)が同市に進出したことで不動産需要が拡大したためとの見方が強い。
 地価公示は国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1回標準地の価格を公示するもので、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格算定等の規準とされている。




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