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「天神ブリッククロス」竣工 日本生命保険と積水ハウス共同でエリアの賑わい創出に貢献

2025.04.14 12:11
日本生命保険(大阪市中央区)と積水ハウス(大阪市北区)が共同で開発を進めてきたオフィスビル「天神ブリッククロス」が4月9日に竣工した。
「天神ブリッククロス」の立地は福岡県福岡市中央区天神。福岡市営地下鉄「天神」駅と地下で直結し、明治通りと昭和通りをつなぐ交通利便性の高い場所。「日本生命福岡ビル」と「福岡三栄ビル」の跡地で、再開発の促進によって競争力向上と雇用創出を目指す福岡市の取り組み「天神ビッグバン」の認定を受けている。
建物は地上18階地下2階の北棟と地上13階地下2階の南棟の2棟構成で、敷地面積約2707㎡、延床面積約3万7048㎡。外観は石や金属などの素材感を生かしたクラシカルなデザインとし、「福岡市赤煉瓦文化館」や天神地下街などレンガ調で重厚な風合いのある建造物が多い天神地区の景観と調和するものとした。地上部には長さ90mの大規模歩行空間(プロムナード)を用意。壁面緑化を施し、近接する天神中央公園や複合施設「アクロス福岡」の緑化空間との連続性を意識している。
北棟は地下1~地上1階に店舗、2階に店舗とオフィスロビーを置き、3~18階は賃貸オフィスフロアとした。南棟は地下1~地上2階を店舗、3階をオフィスロビーとし、4~13階が賃貸オフィスフロアとなっている。
北棟のオフィス基準階は賃貸面積1101㎡。最小87㎡から分割可能で、フロア内には1000kg/㎡のヘビーデューティーゾーンを用意。空調機の増設や水回り設備の増設も可能で、バリアフリーに配慮したトイレも整備した。南棟のオフィス基準階賃貸面積は404㎡。最小57㎡まで分割でき、エリアでは希少な小規模オフィスを供給。いずれの棟も入退室は非接触ICカードで行う。
プロムナードは明治通りと昭和通りをつなぎ、街の回遊性を高める役割も担う。庇を付けた半屋外空間で、雨天時でも快適に通行できるという。各所に配置したベンチや壁面緑化、街路樹により、憩いや安らぎを感じられる街並みの創出にも貢献。また、アートが設置された明治通り側の地上と地下をつなぐ立体広場も整備。地下鉄コンコースから明治通りへの動線を確保するとともに、利便性の高い空間としている。
壁面緑化や常緑並木の形成で、ヒートアイランドの抑制、CO2の削減、大気浄化などの環境負荷低減にも貢献。「BELS」認証の4つ星を取得予定で、電力には再生可能エネルギーの採用を予定している。また建物は制震構造とし、2つの電源供給ルートの確保や非常用発電機の設置により、オフィス入居者のビジネスをサポート。災害時には帰宅困難者の受け入れも予定している。
日本生命では、今後も優良不動産等への積極的な投資を通じて、契約者利益の観点から長期・安定的な運用収益を確保するとともに、日本経済・産業の発展に寄与していくとコメント。積水ハウスは、長年の家づくりの経験で培った快適性に対する強い想いをオフィス開発においても展開。都市部においても、日々移り変わる自然と共に過ごすことができる緑豊かな植栽や自然素材を用いた外構を設け、人と自然を中心に考えたオフィス開発の新しいモデルを創り続けていくとしている。