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”ゼノベ”プロジェクト第1弾「日建ビル1号館」の環境改修竣工 築57年のビルで「ZEB Ready」を取得

2025.04.14 11:59
日本政策投資銀行(東京都千代田区)、DBJアセットマネジメント(東京都千代田区)と日建設計(東京都千代田区)は、「ゼロ・エネルギー・リノベーションプロジェクト(ゼノベ)」第1弾となる「日建ビル1号館」を竣工させた。
同プロジェクトは既存ビルの改修による環境性能向上を通じたCO2削減と不動産価値の両立を図るもの。CO2削減量に炭素価格を掛け合わせた不動産価値および投資経済性を試算し環境改修投資による投資効果を可視化する。投資による経済的な効果を可視化することで、ビルオーナーや投資家の投資判断材料の一つとすることが可能になる。
立地は大阪市中央区。大阪メトロ御堂筋線「淀屋橋」駅から徒歩5分に位置する。
同ビルは延床面積4140・97㎡、SRC造地上7階地下1階塔屋1階建てのオフィスビル。改修工事ではLED照明や空調効率化、断熱性向上など汎用性の高い技術を組み合わせ、投資効率の高い環境技術から優先的に採用。さらに、自然換気窓の導入や天井高の確保といった居住性やウェルネスを改善する改修も同時に実施。これら環境改修工事により「BELS」で「ZEB Ready」認証を取得した。
室内のLED照明には光源に上下回転可能な機構を採用。明るさを制御する照明計画を可能にしている。
空調には冷暖フリー型の高効率ビル用マルチパッケージ空調機を採用。また外皮の高断熱化、室内機器や照明による発熱量の見直しを実施。
断熱性については内断熱とインナーサッシのダブルスキン化を採用。内断熱は屋上・外壁面に吹付ウレタンフォーム断熱材を使用。インナーサッシにはLow-E複層ガラスと木製建具を採用。これにより日射遮蔽を高めるとともに木材により更なる居心地の良さも付加した。
自然換気システムには階段シャフトを用いた重力式自然換気を採用。窓は既存のFIX窓を開閉可能な窓に更新。さらに、入居者が室内のランプ点灯をトリガーに窓を開けるよう、行動変容を促すシステムを導入した。
日本政策投資銀行、DBJアセットマネジメント、日建設計の3社は2022年に環境改修モデルの構築と普及・浸透を目的とする協業を開始し、2024年に既存ビルの環境改修を推進する「ゼノべ」プロジェクトを始動。環境性能と経済価値を両立する環境改修モデルを構築し、実践事例を提供するとともに、その効果を不動産価値に反映し可視化することで、不動産市場とGHG排出量削減を結びつけた新たな市場の創出を目指すとしている。3社は環境改修投資の促進を図り、持続可能な不動産市場の形成を支援していく構えだ。