不動産トピックス

快刀乱麻

1997.11.01 14:03

▼米国で今、中・大型ビルを舞台に流行しているビジネスがある。「コーヒーワゴン」などと呼ばれるもので、ビル1階のエントランスロビー内に2m規模のカートを設置。ここで販売員が常開のオフィスワーカーや来館者に、コーヒーをはじめサンドイッチやクッキーを販売するもの。新幹線の車内販売の本格版といった感じだ。ビルオーナー側には収益の10%程度がマージンとして支払われる。デッドスペースの有効活用であると同時に、閑散としがちなエントランスフロアに賑わいを演出する効果も発揮しているという▼この事例は単にスペース貸しの一成功手法という以上に、ビルが本来持っている、とてつもなく大きな付加価値性を改めて我々に示唆しているように思える。そもそもビルはヒト、モノ、カネ、情報の集積地であり交流の場である。そのターミナル性が有する潜在的経済効果は他のどんな立地にも勝るものがあるはずだ▼バブル崩壊以降、未曽有のビル不況の中で、ともすればオーナーや関係者は疲弊し、自信を失くしてしまいがちだが、知恵を巡らせればビルを活かす術がまだまだ他にもたくさんあるに違いない。すでにピークを超えたパチンコ業界では、前述のコーヒーワゴンをいち早く導入する動きがあるようだ。ビル業界でもこれくらい貪欲で柔軟な発想・対応が求められる。自信を持って、そこにビルがあることの意味を今一度再考してみるべき時ではないか。




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