不動産トピックス
商業ビル最前線
2005.11.07 15:30
<scニュース>東神開発 柏ステーションモールの店舗構成方針を変更 総数150のうち年間15ずつ入居テナントの入替えを予定
高島屋のディベロッパー部門としてSC開発を手がける東神開発は、今後の中長期的計画の1つとして、「柏高島屋ステーションモール」の店舗構成を、ワングレードアップ型のものに変更していく方針だ。
「これまで当施設には、若年層をターゲットに流行に乗った旬のテナントを入居させる方針でしたが、今後は20代半ば以降の女性をターゲットに、ステイタス感のあるブランドショップの割合を増やしていきます。二子玉川のステーションモールでは、ワングレードアップ型の店舗構成が既に成功しており、それに続くものとなるでしょう」
柏ステーションモールにおける既存店舗の業績において、高級品の売上げが数字を伸ばしていることが方針変更の主な要因となっている。その背景には、柏エリアの年齢層の変化や、地元地権者らによる「ファッションの街柏」の推進運動も影響しているというま。た、同社が手がける平成19年春にオープン予定の、つくばエクスプレス沿線「流山おおたかの森」駅前ショッピングセンターとの差別化を図る意味合いもある。
「流山の新規商業施設は、団塊ジュニア世代をターゲットとした、地域密着型の店舗構成となる予定です。ステーションモールで高級感を打ち出すことで、より色分けがはっきりしていくことになります。他社のショッピングセンターとも競合が激化しており、ショッピングセンターはよりターゲットを明確にしていく必要があるでしょう」
現在、同施設には約150店舗が入居しているが、今後は、年間で10%にあたる15店舗ずつを入れ替えていく計画となっている。
<SC会社インタビュー>東京テアトル 「健康と癒し」で周辺施設と差別化図る 駐車場への車の乗り捨て問題が課題
-商業施設の概要は。
村上 当社は昭和21年の創業以来、映画興行事業を中心に、様々なエンターテインメント事業を展開しています。不動産事業では、商業ビル、レンタルオフィスなどの賃貸・管理を行っており、その一環としてショッピングセンター『PAT』を神奈川、千葉など4箇所で運営しています。平成10年にオープンした、千葉市美浜区の『PAT稲毛』は最も規模が大きく、敷地面積1万2000坪、約40店が入居するSCとなります。
-『PAT稲毛』のマーケットは。
村上 美浜区は35年前に集合団地開発が行われ、非常に人口密度が高い街です。開発時に街に移転してきた層と、近年に移転してきたニューファミリー層の2極化が起こっています。SCとしては、幅広い年齢層カバーする店舗構成が必要となります。また、周辺には4年前から競合施設が増え始め、2年前から競争激化の時代に突入したと言えます。周辺SCとの差別化を図ることが勝ち残るための至上命題です。
-具体的な戦略は。
村上 SCとして1つの特徴を出すために、『健康と癒し』というテーマを掲げています。核となるのは、約180坪を占める、有機・無農薬野菜を使用した家庭料理風のレストラン『ティア』です。施設全体のイメージを形成するテナントとなっています。先月には、岩盤浴場も誘致しました。物販だけでななく、サービス業態の店舗でも集客を図っています。今後も、『健康と癒し』に関連するコンテンツを充実させていく予定です。
-管理面で問題は。
村上 当施設では1100台収容できる平地の駐車場があり、立体駐車場の苦手な主婦層の集客に意外と役立っているのですが、自動車リサイクル法の施行以来、”乗り捨て”の車が常時3〜5台くらいプールされています。警察に撤去してもらうにも、1年くらいかかることもあり、頭の痛い問題です。対策は難しく、所有者の良心に委ねているのが現状です。
<scニュース>筑波都市整備 つくばエクスプレス開通で集客数3割増 従来の2棟の施設と合わせて幅広い層からの集客を目指す
筑波都市整備が今年度3月につくば市にオープンさせた商業施設「キュート」が、同年8月のつくばエクスプレス開通以来好調に来館者を伸ばしている。
キュートは地下1階地上4階建て、延床面積約2万5000㎡の規模で、つくばエクスプレス「つくば」駅前に建つショッピングセンターである。駅前の好立地に建っており、つくばエクスプレス終着駅の顔としての役割も担っている。
同社総務部課長代理木村芳之氏は状況について話す。
「つくばエクスプレス開通当初は、同路線の記念乗車組で爆発的に来館者が増えていきました。開通祝いとも言える状況が終わった後の集客が心配されましたが、TXの開通後約3ヶ月を経過した現在、開通以前の約3割増しの集客を保っています」
同社では、「キュート」の隣接地において従来から『CREO』、『MOG』と言ったショッピングセンターを運営してきた。それらの施設は生鮮食品店などが入居する地域密着型の施設である。新設された「キュート」はつくばエクスプレス開通による外部からの集客を見込み、『アディダス』や『NICECLAUP』などのアパレルショップなどで店舗を構成した。
従来の客層と新たな客層を合わせて、全体の集客数を伸ばしていくことが大きな狙いとなっている。
「来館者は増加してきていますが、それが必ずしも売上げに直結するとは考えていません。今後、沿線のインフラが整備され、人口が増加してからが本当の勝負になってくると思います」
TX沿線は今後次々とSCの開発が予定されているが、相乗効果にも期待しているそうだ。
<商店街だより>品川駅前でイルミネーション計画
品川駅街づくり協議会理事長で、同駅前でオフィスビルからコンバージョンした商業ビルを経営している秋山正利氏。現在同氏が熱心に取り組んでいる街づくり活動は、クリスマスシーズンから年末にかけての、駅前のイルミネーション計画だ。青色発光ダイオードを駅港南口から商店街までの通路に飾りつけ、幻想的な空間を演出するというものである。運用資金に関しては、品川駅周辺の企業から広告を集って、まかなっていくため、秋山氏は各社にイルミネーション計画のプレゼンに回ったそうだ。幸い、スポンサーは決定したが、許認可をめぐって、行政との交渉が難航している。スポンサーの決定まで漕ぎ着けた以上、最後までやり遂げるという決意であるそうだ。
「ルミナリエのような派手で大規模なイルミネーションではありませんが、何もやらないよりはましだと考えています。少しでも品川の街が話題になり、来街者が増えてくれればいいと思います」
<話題の店舗開発 はなまる編>会計時に指紋をかざすだけで105円割引 今月末まで公園通り店にて実験的にサービスを実施
セルフサービスのさぬきうどんチェーンを全国展開する「はなまる」は、今月1日から渋谷公園通り店にて指紋認証サービスを開始した。指紋登録料1000円を支払って登録し、レジで指紋をかざせば105円割引になるというもので、同社のかけうどんの小サイズは105円であるため、指紋を登録した人はこの小サイズのかけうどんに限れば指紋をかざすだけで食べられることになる。同サービスは、今月末まで行われる。同社取締役武重隼氏はその狙いを説明する。
「当社のうどんは、”はまる”食材です。1度だけではなく、何度でも食べてほしい。指紋認証サービスにより、ユーザーのリピート率を向上させていくのが1つの狙いです。今回は実験的に1店のみで行っていますが、結果を分析した上で、他店で展開していくことも視野に入れています」
開始初日は約40名、2日目は約80名が登録した。売上げに関しても前週より約30%増と着実に伸ばしている。3日目となった11月3日「文化の日」には、ランチタイム時に人々が殺到した。リピート層となる周辺ワーカーは休日となるため、指紋認証登録者は2日目より減少したが、新サービスの話題性が客を呼んだ形となった。
また、この日は公園通り店、センター街店に、従業員の指導にあたる同社のスーパーバイザーが集結し、調理の正確さ・スピード・接客など各項目を審査するコンテストも行われた。
「サービスの多様化とともに、質の充実にも力を入れています。現在は約190の店舗数がありますが、今後、さらに店舗の競争力を向上させ、年間で1割強ずつ増やしていきたいと考えています」