不動産トピックス

過熱する投資市場の現場から

2006.02.13 15:18

<J・REITの戦略>日本リテールファンド投資法人 「エスキス表参道」の建物・土地地上権を譲渡 建て替えに関するリスクの排除が目的
 日本リテールファンド投資法人(東京都千代田区)は2月8日、「エスキス表参道」の建物及び土地の地上権を竹中工務店(大阪府大阪市)に21億5000万円で譲渡した。
 同物件は、東京メトロ千代田線「明治神宮前」駅徒歩3分、東京メトロ半蔵門線・銀座線「表参道」駅徒歩7分、JR山手線「原宿」駅徒歩7分に位置する、昭和57年1月竣工、地上5階・地下2階、延床面積7257・31㎡の商業ビルだ。
 日本リテールファンド投資法人は、平成16年3月に「エスキス表参道」を取得したが、取得価格は145億円と、ポートフォリオの中でも、高額資産となっている。現在、表参道エリアは、高級ブランド店が集積し、先日「表参道ヒルズ」がオープンするなど、都内屈指の商業ポテンシャルを持つことから、同物件についても、テナント需要は高く、また賃料についても、高額な設定が可能となっている。
 その主要物件とも言える同物件を譲渡した理由は、内部成長戦略の一環としての物件競争力の強化と維持を図る建て替えを行うことにある。平成17年5月には、隣接地を追加取得したこともあり、現状の総賃貸可能面積3782・55㎡が、建て替え後は約5000㎡となる予定だ。この建て替えにあたり、同投資法人は、建物完工、スケジュール遅延及び金利変動等、将来の不確実性に起因するリスクを排除するため、建て替えを担当する竹中工務店に既存建物を譲渡し、借地契約を締結。その後、新建物竣工時の優先交渉権を行使することとなる。
 なお譲渡価格は21億5000万円で、このほか、既存テナントへの解約金など、譲渡関連費用が約9億8100万円。よって、譲渡金額と帳簿価格及び譲渡関連費用合計の差額は約1100万円となっているが、同取引の平成18年2月期同投資法人の運用状況への影響は特に生じない見込みだという。
 新建物竣工・オープンは平成19年11月を予定している。

日本プライムリアルティ投資法人「(仮称)JPR神宮前432」を取得 繁華性高まる原宿・神宮前エリアの平成18年3月竣工予定の商業ビル
 日本プライムリアルティ投資法人(東京都中央区)は、3月24日、「(仮称)JPR神宮前432」の信託受益権を取得する。
 同物件は、東京メトロ千代田線「明治神宮前」駅徒歩3分に位置する、平成18年3月竣工予定、地上7階建て、延床面積1081・44㎡の店舗ビルだ。
 表参道ヒルズのオープン、そして平成19年度には、東京メトロ13号線が開業予定となっており同投資法人は、「(仮称)JPR神宮前432」が、ポートフォリオの安定化・充実を図るのに適していると判断した。
 物件取得先は、オー・エム・シー・ビー開発(東京都中央区)で、取得価格は44億6000万円だ。

サンシティ 「(仮称)サンシティみちのくファンド」を組成 2年以内を目処に300億円規模目指す
 サンシティ(宮城県仙台市)は、「(仮称)サンシティみちのくファンド」を組成する。
 同社は東北地方を中心に東日本全域にて、分譲マンション事業及び不動産流動化事業を手がけているが、今回の不動産私募ファンドにおいても、これまで培ってきたマーケティング力やノウハウを活かして、東北地方を中心に自社開発物件のほか、高収益物件も組み入れていき、高品質、好利回りのファンドにしていくという。
 ファンド規模については、30億円程度でスタートし、1年以内に100億円規模、2年以内を目処に300億円規模の運用を目指す。
 また、同ファンド組成により、プロパティ・マネジメントフィーや配当収入等の収益機会の更なる拡大、オフバランス効果によるバランスシートの改善等を図る。
 なお、組成時期については、4月頃を予定している。

アドバンス・レジデンス投資法人 文京区本郷の新築物件を取得価格は約16億2000万円 4駅・5路線の利用が可能単身者・学生等の需要見込む
 アドバンス・レジデンス投資法人(東京都千代田区)は、3月1日、アルティス文京本郷の信託受益権を取得する。
 同物件は、東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目」駅より徒歩3分、都営大江戸線「本郷三丁目」駅より徒歩3分に位置する、地上14階建て、延床面積2504・50㎡、平成18年2月末の竣工予定のシングル・タイプ49戸、コンパクト・タイプ21戸、総戸数70戸からなる共同住宅だ。
 4駅、5路線利用可能で、交通利便性が高く、都心接近性に優れており、周辺には店舗等の生活利便施設の他、病院、大学等も多く立地している。これにより、都心接近性及び生活利便性を重視する単身者、DINKS等、また、周辺の病院、大学等の勤務者及び学生からの需要も見込んでいるという。
 なお、取得先は明和住販(東京都世田谷区)で、取得価格は16億2335万8576円となっている。

ユナイテッド・アーバン投資法人 2物件総額11億円で取得 千葉・東久留米市に立地太平洋セメントの独身寮
 ユナイテッド・アーバン投資法人(東京都港区)は、パラソル・ビレッジ(東京都千代田区)より、「太平洋セメント蘇我寮」を6億2000万円、「太平洋セメント東久留米寮新館」を4億8000万円で取得した。
 太平洋セメント蘇我寮は、JR京葉線・内房線・外房線「蘇我」駅徒歩5分に位置する、平成5年4月竣工、地上6階建て、延床面積2931・14㎡の寄宿舎である。現在「蘇我」駅西側の臨海地域の再開発事業で、商業施設及び公園設備などの整備が進み、ファミリータイプの分譲マンションの供給も増加している。周辺は住宅地として発展し、生活利便性向上も予想され、安定した賃貸需要を見込む。
 太平洋セメント東久留米寮新館については、西武池袋線「東久留米」駅徒歩7分に位置する、平成9年3月竣工、地上3階・地下1階建て、延床面積1375・11㎡の寄宿舎だ。「東久留米」駅までの沿道には商店街も形成され、また「東久留米」駅から、池袋、有楽町など都心へのアクセス性に優れている住環境、利便性の高さを評価した。
 両物件とも東京証券取引所一部上場企業、太平洋セメント(東京都中央区)の独身寮として長年使用されてきたが、今後も継続使用が見込まれ、安定した稼働が期待できるものとなっている。

ジャパン・シングルレジデンス投資法人 東京メトロ「千駄木」駅近接2月竣工予定の2物件を取得
 ジャパン・シングルレジデンス投資法人(東京都港区)は、フィンチ(東京都品川区)より、「(仮称)千駄木2丁目23計画」、「(仮称)千駄木2丁目6計画」の信託受益権を取得する。
 「(仮称)千駄木2丁目23計画」は、東京メトロ千代田線「千駄木」駅近接、平成18年2月竣工予定、地上12階建て、延床面積1824・89㎡の店舗・事務所・共同住宅複合物件である。
 また、「(仮称)千駄木2丁目6計画」は、東京メトロ千代田線「千駄木」駅徒歩4分、平成18年2月竣工、地上10階建て、延床面積1812・70㎡の事務所・共同住宅複合物件だ。
 なお、同投資法人が取得するのは、2物件共に共同住宅部分となる。
 取得価格については、「(仮称)千駄木2丁目23計画」が9億5100万円、「(仮称)千駄木2丁目6計画」を10億4900万円だ。

<企業動向>リサ・パートナーズ 岡山県の大手ホームセンターに資本参加 株式20万株を9500万円で取得
 リサ・パートナーズ(東京都港区)は、リックコーポレーション(岡山県岡山市)に、資本参加した。
 リックコーポレーションは中国・四国地方を中心にホームセンターおよびペットショップ等を57店舗運営し、地場では大手ホームセンター運営会社であるとともに、ペット市場におけるペット小売専門店としては業界大手に位置付けられている。
 これまでリサ・パートナーズは、過剰債務等の問題を抱える企業の事業再生等を主な目的として、資本参加および経営参画を実施してきているが、今回の資本参加は、同社グループのあらゆる機能を提供して、経営のバックアップを企図するもので、成長途上にある未公開会社への初の戦略的投資案件。リサ・パートナーズグループはリックコーポレーションが更なる店舗展開および事業を拡大するに際して、不動産流動化、M&Aアドバイザリー、SPCを活用した資金調達ノウハウ等の機能を提供し、リックコーポレーションの事業成長を全面的にバックアップすることとなる。
 今回する取得株式数は20万株で、取得価額は9500万円だ。
 同社は、これまで地域金融機関と連携し、主に地域の事業再生支援を目的とした出資及び経営参画を行ってきたが、今後は、事業の成長が見込め、当社グループとシナジーが高い企業の事業拡大を支援するとともに、資本参加を行う戦略的投資についても積極的に取り組んでいくという。




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