不動産トピックス

ビルオーナーのための建築・設備最新情報

2006.02.20 12:55

<話題の技術>日立ビルシステム 「広域災害時エレベーター復旧支援システム」運用開始 復旧機の特定を3時間以内に
 日立ビルシステム(東京都千代田区)は1月16日、『広域災害時エレベーター復旧支援システム』の本格運用を開始した。
 遠隔監視診断システム「ヘリオス」に地震針の動作を自動通報する機能を追加。気象庁が発表する地震情報より早くエレベーター被災地域が特定できるモニタリングシステムを導入している。管制センターや各営業所から社内ウェブサイト上で状況把握が可能となった。なお、昨年7月に発生した千葉県北部地震の際には、復旧作業が必要なエレベーターの特定に12時間要したところ、3時間以内まで短縮できるようになったという。
 地震計動作信号の自動通報による被災地域情報と気象庁の緊急地震速報による震度階情報をもとに、地震計が動作しエレベーターが停止しているかどうかが不確実な地域(震度4〜5弱程度の地域)に対して、管制センターから全ての地震計付きエレベーターの動作状況を自動モニタリングする。地震計動作状況は、1時間に1万台を把握でき、震度5強程度以上の地域については、地震計の動作は確実として初動時にはモニタリング対象から除外し、不確実な地域にのみ行うことで、効率的な状況把握を行う。
 地震発生後の各エンジニアへの出動要請を迅速に行うため、携帯電話のパケット通信機能を利用。専用サイト上で本人及び家族の安否確認、出動可否登録をしたのち、対応現場が指示される。復旧遅れの地域に対する増員など、状況に応じた対応が素早くできそうだ。
戸田建設 コンパクトで設置が簡単揺れを約30~40%低減 超高層RC向け制震柱の性能向上を実現
 戸田建設(東京都中央区)は、19階建から54階建の超高層RC(鉄筋コンクリート)造住宅11棟において、独自の制振技術(制震柱)を適用して耐震性能を向上させてきたが、今回、高強度材料を用いた新しい制震柱を開発し、従来より制振性能を増大できることを構造実験により実証した。
 制振デバイスを柱中央にこれまでの組み込んだ独自のRC造間柱(特許工法)は、メンテナンスフリーや経済性の観点から、低降伏点鋼の採用実績が多い。制震柱は、コンパクトな大きさのため、集合住宅の共用部分などに設けることができるので、高層住宅には適した制振部材である。その反面、その大きさの制約から、地震時のエネルギー吸収能力(以下、減衰力と呼ぶ)には限度があり、地震時の揺れを低減する効果(制震効果)を向上させるには、その設置数を増やすことが必要となっていた。
 今回開発した制震柱は制震デバイスのパワーアップとそれを取り付けるRC造間柱の強度増大を可能とする。従来の制震柱に比べて、超高層住宅の制振効果を一層増大させることができ、制震柱の無い場合に比べて、大地震時の揺れを30〜40%程度低減することが期待される。また、従来の制震柱と同等の制振効果を期待する場合には、設置箇所数を6割〜7割程度にすることが可能となるため、設置コストを20〜30%程度縮減することができる。さらに、設置箇所数の低減により、建築計画上の制約が小さくなり、採用される超高層物件の増加が期待できる。

TOTO 国内最大規模のUD研究所を開所 開発スピードアップしてUD商品割合を50%に
 TOTO(北九州市)では、国内最大規模のユニバーサルデザイン(UD)の研究・検証・研修機能を持つ「UD研究所」を2月1日、茅ヶ崎工場内に開所した。
 研究所には、実際の生活動作から使用者が意識していない「気づき」を見つける『生活シーン検証スタジオ』、昭和40年代の様々なバリアを実体験できる『リビングラボ』、器具の高さや空間の広さを変えることで自分が使いやすい標準位置を確認できる『シミュレーションルーム』などがある。
 いずれも、顧客の潜在ニーズを引き出し商品開発につなげることができるほか、UD感覚を兼ね備えた社員を育てる研修機能も果たしている。
 また、UD商品開発のスピードアップが図れるよう、米国のUD研究専門家であるヴァレリー・フレッチャー氏をスペシャルアドバイザーに迎え、人間の行動研究を追求していくという。
 当面の目標は、全商品中のUD商品割合46%を07年50%に引き上げる。

山武 ビル管理者を目指す学生 山武のBA機器に触れる 学生向けにBAトレーニング実施
 計測・制御技術の山武(東京都千代田区)は2月10日、都立品川技術専門学校ビルディングオートメーションサービス科(BA科)の生徒18名に対し、BA機器を用いたトレーニングを実施した。
 開催された場所は、最新のBA機器・システムを備えたデモンストレーションルーム『APプラザ』。
 トレーニングの内容は、施設内の見学のほか、最新BA機器を用いた実習や、実際のフィールドを想定した空調制御・設備など。故障を予見し、その発生前にメンテナンスを行う「予防保全」を重要視する考えを学ぶ場になった。
 BA科は求職中、あるいは転職を希望している18〜60歳位までの男女を対象とし、ビル管理に必要な技術・知識を講義しているが、今回のトレーニングを受講したのは、主に50歳以上だった。
 受講生は、普段の講義では触れることのない機器を実際に使うことで「製品やシステムの理解を深めることができた」と言う。
 なお山武は、今後もビル管理者を目指す学生を対象にBA機器トレーニング等を継続し、教育現場のサポートを行っていく。

<注目の製品>ダイキン工業 ビル空調省エネマネジメントシステム開発 業界トップの省エネ性能最大256台を遠隔管理
 ダイキン工業(大阪市北区)は、遠隔からの機器の最適運転化で省エネが実現できる「遠隔チューニング機能」を新搭載したビル用マルチエアコン「Ve-UPⅢ」シリーズを基幹として、「Webサーバー機能」を搭載して遠隔操作・監視や空調機以外との連動制御を強化した新「Ve-UPコントローラー」と組み合わせてビル空調の省エネ・省管理を実現した。
 「遠隔チューニングサービス」を利用して、機器の設置状況・使われ方に応じた最適な運転状態にチューニングすることで、さらなる省エネを実現する「ビル空調省エネマネジメントシステム」として今年7月に新発売する。
 「Ve-UPⅢ」は、熱交換器形状の最適化や吹出しグリルの低圧損化および低騒音ファンの採用による風周り部の改善、現行の高効率インバーター圧縮機の効率アップを図ることで年間電気代を約35%削減。冷暖平均システムCOPは4・11で、業界NO1を達成した。また、新Ve-UPコントローラーは最大128グループ256台の操作監視が可能で、3パターン画面表示を行う。
 今後は空調の省エネ・省管理と共に、遠隔からチューニングすることで使用状況に応じた対策を提案していく。

豊和工業 小型歩行タイプ床面洗浄機 凹凸部の油汚れも洗浄可能
 豊和工業(愛知県清洲市)は2月14日、小型歩行タイプの床面洗浄機『豊和フロアペットF30Eα形(GO)』を発売した。
 工場、倉庫、ショッピングセンターやオフィスビルなど建屋内の床面洗浄作業のうち、特に油汚れに適している清掃機である。
 車両質量は135㎏。これに、洗浄タンク(45リットル)、汚水タンク(48リットル)を装備しているが、ブラシ駆動力が前進歩行をアシストするほか、全長約1m、幅約0・5mという小柄さが、狭い路地での操作性を上げているため、長時間作業にも対応している。
 なお、ブラシ部にはディスク型2個のブラシを採用凹凸面への追従が良いため洗浄ムラを抑えることができる。また、洗浄幅も大きいため効率が良いという。クラス最大級のプロワモーターを採用しているため汚水をしっかり吸引するので、清掃作業を効率化できる。
 価格は100万8000円(税込)。初年度は100台の販売を目標としている。
 なお、豊和工業ではフロアペットシリーズとして歩行式から搭乗式まで全3機種を製造販売している。




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