不動産トピックス

ビルオーナーのための建築・設備最新情報

2006.03.27 16:57

<注目の新技術>大成建設 太陽光を建物奥まで届けるシステム開発 照明用電力を20~30%程度削減
 大成建設(東京都新宿区)は、アクシス(東京都江戸川区)と共同で、太陽の光を建物室内の奥まで採光できる太陽光採光システム「T‐Soleil(ティ・ソレイユ)」を開発した。
 同システムは早稲田大学理工学部田辺新一教授の助言や評価を受けながら推進してきたもので、シンプルな機能による太陽光自動追尾型ミラーと多段のミラーの組み合わせで任意の方向に室内奥まで高質な光を拡散することができるもの。
 ミラー装置はグレア(まぶしさ)を防ぐとともに拡散性を持つ素材・構成とし、高質で目に優しい光環境を実現。通常の天窓の3倍照度で光空間を構築するため、照明用電力消費量も20〜30%削減することが可能だ。
 近年、建物へのニーズとしてアメニティーの向上などに対する要求が高まっているが、本システムをアトリウム空間などで使用することで太陽光の上質な光空間を演出することができる。構造的に窓を設けにくく採光が取れないスペースや地下などへ太陽光を届けることを実現する。
 なお大成建設では、新築建物を始め、既存の建物においても吹き抜け空間などのある施設や北側に面した居室などを採光するシステムとして積極的に提案していく。

奥村組 外殻PCa用いたRC柱工法が技術証明取得 現場作業を削減し短工期実現 柱主筋は2層1節で建て込み
 奥村組(大阪市阿倍野区)は、日本コンクリート工業(東京都港区)と共同で、□型形状の型枠兼構造体としての性能を兼ね備えた薄肉中空断面プレキャストコンクリート(以下、外殻PCa)「エコカラム」を用いた鉄筋コンクリート造柱部材(以下、外殻PCa柱)の設計・施工法を確立。日本建築総合試験所から建築技術性能証明を取得した。
 この工法は、現場での鉄筋組みや型枠作業を廃することができるため大幅な工期短縮、省力化が可能で、柱主筋を2層1節にして建て込めるため、柱主筋の機械式継手箇所が、在来工法や通常の外殻PCa柱工法の約2分の1となり、施工コストを縮減できる。また、1ピースの重さがフルPCaや柱主筋を配筋した外殻PCaに比べて軽量で、揚重には大型クレーンを必要としない。
 なお、耐久性に関しては、100年間の耐用年数を想定したコンクリートの目標品質を満たしている。なお、エコカラムと2層1節の柱主筋をユニット化して建込み、工期の短縮を図るとともに、柱主筋の機械式継手の数を少なくしコスト縮減を図る工法を「エコカラムユニット工法」と呼称しており、第3回国土技術開発賞にも入賞した。
 今後、エコカラムの製造と販売については、日本コンクリート工業が担当し、全国的な普及展開を図っていく。
INAX シングルレバーの混合水栓柱 ワンアクションで温度調節
 INAX(愛知県常滑市)は、ガーデニングやペットのシャンプーに便利なハンドシャワー付『シングルレバー混合水栓柱』を発売する。
 特徴は、屋外で手軽に湯と水を使い分けできる点にある。その他、水が拡散しにくいシャワーヘッドや、ワンアクションで温度調節、流量調節、吐水・止水ができるシングルレバー方式を採用しており、ペットのシャンプーをするときにも泡を洗い流しやすい。また、ハンドシャワーとは別に散水用ホースを接続できる自在吐水口があるため、用途別の利用も可能となっている。周囲への水の広がり、飛び散りが気になる場合は、オプションの「専用防水パン」を使用するとそれらを抑制することができる。
 価格(税込、工事費別途)はシングルレバー混合水栓柱が8万4000円、専用防水パンが1万8900円。なお、販売目標は年1万台としている。

山武 クーリングタワーの水質維持と温度管理 水道代32%のコストダウンを実現
 山武(東京都千代田区)は冷却塔コントローラ『ミズコン・プラス』を発売開始した。
ビル建物の空調用などに使用される冷却塔(クーリングタワー)は、水分が蒸発して不純物の濃度が上がると、冷却水循環系にスケールなどが発生する。この場合、冷凍機やコンプレッサの能力低下や、冷却塔や配管の閉塞といった障害を発生させることがある。
 これを防ぐためには給水をして不純物の濃度を薄める必要があるのだが、無制限に給水を行うと水道代がかさんでしまう。さらに、4月に施行される改正省エネ法では冷却水の温度管理が大きなポイントとなる。『ミズコン・プラス』は冷却水の水質維持と温度管理を行う冷却塔コントローラであり、これを用いることで水道代が連続給水方式のものと比べて32%のコストダウンが実現できる見込みとなっている。
 具体的には、水質の異常が見られた場合に警報を鳴らしたり、導電率を計測し出力したりすることで簡便な水質監視ができる機能、冷却水ポンプ停止時に連動してファン等を停止する機能、寒冷地向けに凍結を防止する機能、冷却水温度を管理するための機能などが搭載されている。
 なお、価格は18万円〜25万円。販売目標は年間1300台としている。

栗田工業 防食性を高める水処理薬品を開発 腐食減肉を徹底抑制
 栗田工業(東京都新宿区)が、純水給水ボイラの給・復水系の配管・機器類の腐食減肉を抑制する水処理薬品「オキシノンMFシリーズ」を開発した。
 開発の背景には、近年、ガスタービン・コンバインドサイクル発電設備の低圧ボイラで、給水・復水系統の配管やボイラ蒸発管などの内壁の減肉が進行し、配管の更新を求められるようになったことがある。減肉で破損が起こると、ボイラの運転停止、工場の操業停止、人的被害の発生などを引き起こす可能性があるため、危機管理は十分に行わなければならない。
 減肉の要因としては、配管内の乱流・高流速などの物理的なものと、水中の溶存酸素の共存やpHの低下によるものに加え、近年では給水の温度が90〜180℃の温度域での腐食の進行が多く見られている。発電ボイラでは通常、給水を加温することが行われており、それが給水の温度域となっているのだ。また、もっとも腐食が発生しやすい130〜150℃付近で運転温度を設定しているものもある。減肉が進行しやすい環境にあるため、腐食の進行を見逃すことはできない。
 これらの事情をもとにこの製品では、減肉が発生しやすい温度域において、pHが最も高くなるように設定し、さらに防食性を高めるために、水と接する配管表面の酸化鉄皮膜を安定化させた。




週刊不動産経営編集部  YouTube