不動産トピックス
商業ビル最前線
2006.04.03 15:18
<scニュース>イオン イオン最大のSCが今月末にオープン 82万人29万世帯の商圏で年商320億円を見込む
イオン(千葉市美浜区)は、今月26日、さいたま市緑区に「イオン浦和三園ショッピングセンター」をオープンさせることになった。
埼玉県内9店目となる同SCは、同社最大の商業施設面積8万7223㎡のモール型SCとなる。その内訳は、ジャスコ直営が1万7789㎡、専門店2万9438㎡、飲食・サービス店が2万318㎡だ。
建物概要は、鉄筋コンクリート造地上3階建、敷地面積11万9484㎡、延床面積9万8282㎡。従業員数は、SC全体で約3680名、内ジャスコ直営約680名となる。
さいたま市の浦和東部・岩槻南部地域では、浦和美園駅及び埼玉スタジアム2002などを中心とした土地区画整理事業によるまちづくりが進められている。
同SCは、この事業地域「みそのウイングシティ」の大型商業ゾーンに位置している。北側約100mには地下鉄南北線と直結する埼玉高速鉄道線の浦和美園駅があり、東京都心へのアクセスも良好だ。
また、SC北側は、埼玉県東部を南北に縦断する2本の広域幹線道路である、国道122号線と国道4号線を東西に結ぶ国道463号線に面し、さらに東北自動車道浦和ICから約700mにあり、広域からのアクセスにも恵まれている。商圏はさいたま市、川口市、越谷市、草加市などから約82万人、約29万世帯を想定している
約3000台の駐車場と約2400台の駐輪場を備えている。全長280mのモールは、主通路幅8・5m、天井高5mと開放感あふれる空間となっており、通路には、リサイクル可能な素材でつくられたカーペットを使用するなど、快適に利用できる環境づくりに取り組んだ。
SC全体で年商320億円を目指しており、その内ジャスコ直営店で90億円を見込む。
ダイエー 新会社ダイエースペースクリエイトを設立 3つの新事業を開始し収益構造改革を推進
ダイエー(本店・神戸市中央区)は、先月30日に開催された取締役会で、3つの新事業を展開することを決議し、4月1日からスタートさせた。
新事業は次の通り。
1.地域の連携による催事企画・運営等を行なう「スペースクリエイト事業」。
2.内外の広告、クライアントとのイベントタイアップ企画等を行なう「インストアメディア事業」。
3.ネット通販等を行なう「ネットビジネス事業」
同事業を行なうのは、「ダイエースペースクリエイト(東京都台東区)」だ。同社はグループ子会社「十字興業」を社名変更したもので、30日の取締役会で承認された。
新会社はダイエーの100%持株会社で、資本金は4億3800万円、代表取締役には近澤一裕氏が就任する。従業員は、ダイエー本体から約700名を出向させる予定となっている。また、同社はグループ内の別会社に計800人を出向させる計画で、さらに100人の出向も検討中だ。
新事業の狙いについては、同社の持つ経営資源を有効活用することで、店舗の活性化・集客力アップおよびグループの収益構造改革を行なうためとしている。
先月9日には、東京ベイららぽーとショッピングセンターにて同社が保有する資産を、中央三井信託銀行に不動産管理処分信託し、その信託受益権を譲渡することも取締役会で決議され、新事業と合わせて多角的に経営資源をコア事業に集中する取組みを進めている。
同社は産業再生機構の支援で経営再建中のため、これらの取組みの効果により早期の経営再建が期待されている。
なお、新事業の2007年2月期以降の業績への影響は、2006年2月期決算発表時の2007年2月期業績予想に盛り込む予定であり、現時点では未定。
<SC会社インタビュー>井の頭会館 スターバックスコーヒー吉祥寺1号店が入居 劇場から出発し商業ビルを運営
―創業は大正10年だそうですね。
本田 大正10年にオープンした井の頭会館は、映画、演劇、浪曲など様々なジャンルのパフォーマンス劇場でした。戦後からは劇場から商業ビルに用途変更して、運営しています。また、映画館に関しては、昭和22年に「吉祥寺ムサシノ映画館」の経営を開始しましたが、吉祥寺初の洋画専門の映画館だったため、当時大きな話題を呼びました。昭和59年に老朽化から改築し、「バウスシアター」として衣替えし、現在も運営しています。同施設は映画館の他、寄席やライブ会場としても使用が可能であり、老若男女が楽しめる娯楽場で、井の頭会館の形態を引き継ぐものと言えます。
―本田ビルの設立は。
本田 昭和49年に吉祥寺駅北口の本町新道沿いにビルを建設しました。元々は私たち家族が住んでいた戸建が建てられていたが、昭和41年からはじまった吉祥寺駅周辺の再開発により本町新道が開通したことに伴って、商業地として成熟することを見込んで商業ビルを新築したのです。現在は、STARBUCKSCOFFEEの吉祥寺1号店がなどが入居し、満室稼動中です。スタバに関しては、現在吉祥寺には当ビルの他に3店舗あり、皮肉なことに競合が激化して1店舗あたりの集客が若干落ちていると聞きました。
―苦労したことは。
本田 テナントとのトラブルは多々ありました。当ビルに入居していたイタリアンレストランから賃料減額要求があり、経営収支や将来の経営方針等の具体的なデータが提示されなかったので減額は却下することにしました。すると、交渉の場に暴力団を連れてきて脅すようなことをしてきたのです。結局、入居契約を解約しましたが、ビルオーナーの立場の弱さを痛感しました。また、入居者に関して、支店長レベルの人間はすぐに人が変わることがあり、街への愛着心が薄いことも気になります。吉祥寺全体で集客力を向上させていくためにも、清掃や駐輪整理などまちづくり活動に積極的に参画していただければと思います。
<商店街だより>亀有駅北口に両さん像設置
JR亀有駅周辺9商店街からなる亀有地区商店街協議会(桐林幾生会長・亀有銀座商店街振興組合理事長)は、先月11日に、葛飾区のJR亀有駅前北口に、週刊少年ジャンプの人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の主人公、「両津勘吉」の銅像を設置した。これは、区の助成や版元である集英社の協力を得て実現したもので、さっそく地元の子供達をはじめ全国から「こち亀」ファンが訪れて賑わいを見せている。
記念式典であいさつに立った桐林会長は、「これを機に住んでよかったと思える街にしていくよう地元商店街としても努力していきたい」との抱負を述べた。JR亀有駅南口側では続く先月3日、約4万㎡の都内最大規模のイトーヨーカドーSCが開業した。これを受けて今後は駅南口側でも、同様のシンボル像の設置を検討していく予定だ。新たな大型商業集積の登場による集客力を、両さん像によって街全体の回遊性向上へとつなげ、地元商店街を活性化させるチャンスとする考えだ。
<注目の企画会社>同和商事不動産 地権者をまとめて商業ビル企画を提案下 北沢にダイエー等誘致店舗から街を形づくる
下北沢を中心にテナント企画・店舗開発を行う周和商事不動産。一般的な不動産仲介とは異なり、ビルの建築計画段階から地権者に誘致する店舗を提案していく。
同社代表取締役松本剛直氏が地権者を取りまとめてビルの建築計画を提案し、ダイエーを入居させたのが駅前に建つ月鳳ビルだ。
「昭和45年に竣工したビルです。当時はちょうど地権者たちの民家の建替え時期だったのですが、まちの発展のために大型店舗の誘致を提案しました」(松本氏)
その後も建替えや相続の時期などに地権者にビル企画を提案し、横浜銀行、旧東海銀行、多数の飲食店などを誘致し、下北沢の街を形作ってきたという。また、同氏自身も下北沢で3棟の商業ビルを経営するビルオーナーでもある。
現在、下北沢では駅周辺の再開発計画が進んでいる。駅前広場を設けて住宅街に新設の道路を通し、駅側沿道にかけて高さ約60mラインの高層ビル群を誘導する計画だ。
「地権者をまとめて店舗企画を提案していますが、計画には反対派も多く、スムーズに進んでいません」(松本氏)
下北沢は雑多な街並みが魅力でもあり、同街にゆかりのあるミュージシャン坂本龍一氏やフジ子・ヘミング氏らも駅周辺の再開発に関して反対声明を出している。
一方では、災害時の安全性や駅の老朽化の改善など再開発の必要性も叫ばれており、賛否両論が現状である。
「私個人としては、下北沢の再開発を実現させたいという気持ちもありますが、地権者・住民にとって、一番いい結論になればと考えています」(松本氏)