不動産トピックス
クローズアップ 屋上防水編
2006.07.24 16:56
筒中シート防水 塩化ビニルシートによる絶縁工法に需要 粉砕分別の技術を開発 リサイクルで環境対策
筒中防水シート(大阪市北区)の主力製品「サンロイドDN防水システム」は、特殊軟質塩化ビニルシートによる絶縁工法である。同社では環境汚染物質を含まない「サンロイドSG防水システム」も販売している。一時、塩化ビニルに対して厳しい反応があったが、現在は「サンロイドDN防水システム」の需要の方が高いという。
価格面の理由もあるが、「社会の塩化ビニルへの対応が進んできています」(筒中シート防水 業務部部長代理 藤川延広氏)という面もある。
同社ではゼロミッション化を進めている。DNシートは、強度と耐久性を高めるため補強ネットを積層している。積層素材のため、分娩は難しかったが、粉砕分別技術を開発。製造工程で発生する端材は、粉砕分別で塩ビ素材と補強ネットに分別し、塩ビ素材はDNシートの製造原料として利用している。
また、これまで、接合には溶着剤を使用していたが、高周波接着工法を一部で採用。同工法は、高周波ディスク表面の高度溶融型接着剤を溶融して、シートと接着するというもの。溶着剤の利用による作業員や周囲への影響を低減している。
また、ビルの地下水槽の防水分野も手掛けている。水圧がかかるため、特殊で高い技能を必要とする。このため、同社では社内で検定制度を設けるなど、技能の向上に務めている。
近年、需要が伸びているのが、「サンブリッド」。これは金属下地屋根防水工法の総称である。防災性能が高いことが需要の伸びの一因であるという。
田島ルーフィング 新築にはアスファルト用途によって提案選定 押え防水仕様、露出防水仕様に高需要
田島ルーフィング(東京都足立区)では、ビルの防水について、アスファルト、シート、塗膜とそれぞれ取り揃えているが、ケースによって提案するものを選別している。
「新築の時はアスファルトを勧めています。理由は、アスファルトにまず実績があること。また屋上の利用に幅が持てるからです」(田島ルーフィング 営業企画室係長西村陽氏)。
都市部では、アスファルト防水の場合、現場に釜を持って行き高熱でアスファルトを溶かすので、臭いや煙が周囲の環境に影響を与えることから、シート防水を勧めるケースが多いという。また、防水層表面に色をつけたいといった要望から、シートや塗膜の需要が伸びている。
施工面積の大きさによっても、向き不向きがある。広い屋上の場合は、アスファルト、小さい屋上の場合は施工しやすい塗膜を勧めている。
どのように屋上を使うかによって、防水方法が決まってくるが、「屋上を使わないケースが増えている」(同氏)という。防犯・安全面など、様々な理由が考えられるが、こうした背景から同社では、押え防水仕様、露出防水仕様の需要が伸びているという。
また、新築よりリフォームの需要のほうが伸びているという。同社の営業部隊も新築よりも、リフォームの部隊を強化していく。
ダイフレックス シックハウス対策支援 無溶剤工法の製品充実 15年保証と信用保険付の工法を販売
ダイフレックス(東京都新宿区)では、15年保証と「信用保険」の2つのソフト面を充実した「バリューズVSランスロック工法」を販売している。
同工法は機械的固定工法「ランスロック工法」をベースとしたもの。さらに材料を高耐久素材に変更し、品質管理を徹底し、高品質で信頼性の高い防水層を形成する。
工法は、既存の露出防水層の上に、改質アスファルトシート製の絶縁シートを直接敷き、専用のアンカーピンで部分的に固定した後、超速硬化ウレタンを吹き付け京成するという手順となる。
ビルの防水では、10年の保証が一般的だといわれている。同工法では品質管理の徹底と高品質の証として、その1・5倍の15年間、メンテナンスフリーで防水層の品質を保証している。
また、長期保証の場合、例えば保証期間中に施工業者の倒産など、さまざまなリスクが考えられる。同工法では、大手損害保険会社と協力し、信用保険を実現した。
同社では環境問題に対しても注力している。その1つとしてシックハウス対策を支援する無溶剤工法がある。厚生労働省の「室内空気汚染に係るガイドライン」、文部科学省の「学校環境衛生の基準」など各省庁が対象としている物質を無配合な、「プライマー」、「ウレタン防水材」、「立上り用添加剤」、「希釈剤」などのラインアップを揃えている。
旭硝子ポリウレタン ビルでは通気・緩衝AV工法が主流 下地との高い接着強度 安定性、耐久性を実現
旭硝子ポリウレタン(東京都中央区)で現在、ビル屋上の防水で好調な製品は、サラセーヌ通気・緩衝AV工法だ。
「サラセーヌ」とは、ウレタン塗膜防水システムのことで、旭硝子のウレタン技術を背景として、同社が製造、販売している。 サラセーヌAVシートは、ポリエステルフィラメントの長繊維不織布に、千鳥格子状に孔を空けた通気・緩衝シートである。
同工法は、通気・緩衝効果を持つAVシートの上にウレタンを塗り重ねた、準密着・絶縁式の複合塗膜防水工法となっている。
通常のウレタン工法の場合、長い間にアスファルトとウレタンの層の隙間に水蒸気がたまり、水蒸気でウレタンが浮き出るケースもある。同工法では、通気・緩衝層が下地の水分を外に逃し、防水層の膨れを防止。その後、下地の動きを緩和し、ヒビなどから防水層の破断を防ぐ。
ウレタン防水層が直接下地と接着しているため、より接着強度が高く、安定性と耐久性を実現している。
脱気装置は、Uベントと立上り用脱気盤で、Uベントは50~100㎡の割合で取り付ける。
残留水分の多い改修防水にも適している。現在は、リフォームの需要が多く、ビルでは9割以上が改修だという。