不動産トピックス
クローズアップ 機能塗料編
2006.08.07 17:20
アーテック工房 炭の消臭効果に着目、電磁波も吸収 ICASシステムで空気環境の良い室内へ
アーテック工房(横浜市港北区)は、炭から作る塗料「ヘルスコート」を開発した。
ヘルスコートとは、シックハウス対策用に特殊なバインダー材を混入して、本来の機能を損なわせないように機能性をUPさせた炭の塗料である。
消臭機能が高く、喫煙ルーム・トイレ・洗面所・ペットの臭いなどで非常に有効である。
また同塗料は、電気的特性も持ち、半導体の特性を帯びることで電磁波を吸収する。電磁波の多い工場やパソコンの使用が頻繁なオフィスなどで効果を発揮する。また、吸収性にも大変優れており、結露をしないため色落ちせず、半永久的に機能性を持ち続けることからも、ランニングコストがかからないという特性も持つ。この、半永久的に機能を維持するという塗料は、同社だけの特性となっている。
設計時の価格は、1㎡当たり材工3360円~4200円となっている。
同社は、このヘルスコートを利用して次なるステップに進んでいる。それは、ICASと呼ばれるイオンコントロールアダプターシステムを利用した空気環境の良い部屋を作ることである。
このシステムは、ヘルスコートを壁面に塗り、イオンコントロールアダプターを地中に埋め、ヘルスコートに電子を流す。ヘルスコートの特性によって、人間にとって過ごし易い環境を整えることができるというもの。
さらに、害虫の発生防止、アレルギー体質改善に効果が有り、現代社会において住み易い環境作りに適している。
同社では、「これからは、オフィス環境で環境・健康の付加価値を第一に考え、いい環境を提供することで他社との差別化を図っていくことが大事である」(代表取締役 吉松道晴氏)と考えてある。
恒和化学工業 カニ・エビの甲羅から塗料を開発 天然素材を原料に使用 リサイクルで環境対策
恒和化学工業(東京都大田区)は、カニやエビの甲羅より得られる天然高分子素材キトサンに注目し、関西学院大学と共同で”ダイヤキトサンコート”を開発した。
同社は、キトサンの性質に抗菌・抗カビなどの作用があることから、環境にやさしく、極めて無害であることに注目をした。
同塗料は、キトサンを樹脂の中に含んでいるため、シックハウスで問題となっている物質ホルムアルデヒドを吸着して拡散させないのが特徴。VOC(揮発性有機化合物)がゼロという特性を持ち、塗料の臭いがほとんどしない。それゆえ、塗装後待たずにすぎに部屋を使用できるという特性も持ち、内装用には非常に適した塗料となっている。
また、キトサンの樹脂に直接吸着させるので、臭いを緩和する効用も持ち、トイレやタバコの臭いなどを抑えることもできる。
消臭には即効性はないものの、持続力は高く冷蔵庫などで使用している脱臭用の炭とは異なり、一度吸着してしまえば臭いを逃さない性質を持っている。
価格は、1㎡当たり材工1700円となっている。
キトサンコートにはクリアータイプも有り、こちらは性質に変わりはなく、無色透明のため壁紙の上から塗ること、および壁面に上塗りが出来るのが特徴。こちらは、1㎡当たり材工2000円となっている。
同塗料は現在、主に病院・食品会社・教育施設など、カビ菌の発生が問題になるところで使用されている。海外展開もしており、東南アジア(韓国・台湾など)での実績も持つ。
同社は、「キトサンは天然系の素材で吸着をするため、化学合成品とは異なり安全性が高い。カニやエビの甲羅を利用しているということは、産業廃棄物だったものを利用しているということ。つまり、リサイクルをしているわけで環境対策の手伝いにもなっている」(営業企画室 係長 豊田司氏)という。
富士塗料工業所 ホタテの貝殻から塗料を開発 有害な物質を吸着 室内の空気を洗浄
富士塗料工業所(愛知県刈谷市)は、八戸工業大学と共同でホタテの貝殻に特殊な加工を施し、健康・安全・環境を守るために開発された内装塗料を”時雨色の物語”と名前をつけて製品化した。
この塗料は、天然素材のホタテの貝殻を原料にしており、非常に抗菌性が高く、大腸菌や黄色ブドウ球菌といったカビ菌を10000分の1まで減少させるとともに、ホルムアルデヒドの室内低減効果もあり、空気中に拡散された有害化学物質をアルカリの力によって吸着分解する機能性を持っている。
また、消臭性が非常に高く、ペット臭・タバコの臭い・洋服タンス・トイレなどの臭いが強いところから豚舎や鶏舎といった、動物の臭いの消臭まで可能にしているのが特徴である。吸放湿性にも優れ、通気性と合わせて室内の結露防止と保温の効果もある。さらに、炭酸ガスを分解する効果まである。
価格は、1㎡当たり1500円(材料費のみ)となっている。
日本ペイント 構造的に結合を強化、劣化を防止 親水性を利用、汚れの付着を軽減
日本ペイント(大阪市北区)は、4フッ化フッ素セラミックの塗料”ファイン4Fセラミック”を開発した。
フッ素樹脂は、非粘着性・耐薬品性・低摩擦性・耐候性・難燃性などの特性を持ち、塗料には非常に適している。そのため、外装塗料として人気を集め、”フッ素樹脂塗料”が開発され実際に実用化されている。
実際に実験を試みた結果、紫外線により従来の3フッ化では500時間後に劣化が始まったのに対して、4フッ化では全く劣化が見られなかった。構造的に結合を強くしたため、劣化に対しての強度の強さが伺える。また、建物の塗り替え周期に置き換え、長いスパンで見ても、高耐久外壁用塗料が40年で2回~3回の塗り替えが必要になるのに対し、ファイン4Fセラミックは40年で1回~2回の塗り替えで済む。
これは、同時にメンテナンスにかかる費用を抑えることに繋がり、コストの削減になる。さらに、環境負荷の軽減へとも繋がっていく。
もう一つの機能として、抜群の親和性(水漏れ性の高い状態)も持っているという点がある。親水性が高いということは、雨が降った際の汚れが水直面に流れ落ち塗膜に付着することを防ぐことになるので、非常に汚れがつきにくく、掃除やリフォームの際のコストの削減も見込める。
この「汚れを雨で落とす」という考えは、今までに例の無い新しい方法でのコスト削減の形を生み出した。
価格は、1㎡当たり材工3800円となっている。