不動産トピックス

クローズアップ 地震防災編

2006.08.21 15:21

東京ガス 遠隔遮断システムで安全性を向上 短時間で的確な供給停止を実現
 東京ガス(東京都港区)は、超高密度リアルタイム地震防災システム「SUPREME」を開発し、短期間で的確な供給停止を現在、可能にしている。
 同システムは、1994年に運用を開始した地震時導管網警報システム「SIGNAL」をさらに発展させ、誕生したシステムであり、約3100㎢の供給エリア内にある4000基の地区ガバナ(ガスの圧力を中圧から低圧にする整圧器)全てに高性能地震センサーを配備し、地震時遠隔監視装置(防災DCX)と遠隔遮断ユニットを投入。
 無線・一般回線を用いて、地区ガバナの迅速で確実な一斉遮断を可能にしたもの。
 SIGNALでは、阪神・淡路大震災クラスの大地震が関東で起きた場合において、社員が巡回してみ社団の地区ガバナを停止していたため、ガス供給停止に約40時間を要すると想定されていたが、SUPREMEでは遠隔遮断を行うことにより、わずか1時間程度で供給停止が可能となり、大地震時の大幅な保安レベルの向上が図れる。
 地震情報の収集に至っても、SIGNALでは4~5時間かかっていたものが、複数の警報を一括送信する機能を持つ防災DCXの開発に伴い20分へと短縮。
 遠隔遮断ユニットの開発により一般回線を使用した場合でも十分な信頼性を確保できるようになり、従来の40分の1程度のコストでの構築を実現した。
 同システムの情報は、「TG情報ネットワーク」を通じて購入可能であり、モバイル・WEBなどで現在、配信されている。
 価格は、約1万円から約30万円までと機能によって異なる。

沖電気工業 緊急地震速報を活用 半導体工場で稼働中 被害拡大を防止、未然に防御
 沖電気工業(東京都港区)の半導体生産拠点である宮城沖電気(宮城県黒川郡大衡村)とリアルタイム地震情報利用協議会(REIC)(東京都新宿区)は、気象庁から伝送されてくる緊急地震速報を活用した「リアルタイム地震防災システム」を共同開発し、販売している。
 同システムは、地震時の最初にやってくる小さな揺れの地震波動(P波)を感知し、P波のあとにやってくる大きな揺れの地震波動(S波)が来る前に、自動でアラームを発報、危険なガスや薬品の供給を遮断することで、未然に安全姿勢の確保・安全地域への避難・仕掛品への一次対処などを行い人的被害を防ぎ、火災・有害汚染などの二次災害も同時に回避するもの。地震により起こりうる建物の倒壊、配管の損傷、冠水、停電、漏洩による腐蝕・漏電、冷却水停止による設備の損傷、品質データの消失、生産システムの運用困難などといった被害を想定し、同社では昨年9月から導入を開始している。
 現在、インターネット・衛星を通じて2回線受信をすることで、システムの稼働信頼度を上げており、2回線にシステム監視とリモートメンテナンス機能を取り付け、4回線体制を取っている。震度精度を上げることや、誤報を無くすといったことも同時に行える体制を整えている。
 「半導体は精密な加工品であります。もし装置がずれた状態で生産を続けたとしたら全てが不良品となり、廃棄物になってしまいます。365日常に生産をしているため、破損が確認されれば億単位の被害と想定できます。そうなる前に生産ラインを停止させることができれば被害は軽減できると思われます」(広報部 担当課長 原淳氏)
 同社は、今後も半導体工場をはじめ、危険物を扱う会社などに積極的に同システムの設置を進めていくとしている。
 価格は、1台当たり3000万円である。

応用地震計測 複数台の連動機能を所持 階層別の揺れ観測に最適 低価格・多機能を誇る小型地震計
 Eキャッチャーは、応用地震計測(さいたま市南区大田窪)が、名古屋大学らと共同で開発した小型地震計だ。半導体センサを用いた小型強震計でありながら、本格的な強震計に求められるほとんど全ての機能を有する。地震波形を収録する機能の他、震度相当値・SI値・加速度値をリアルタイムで計算して、LANポートから出力する機能を持つ。震度の相当値は本体側面の小型ディスプレイに表示される。
 また、外付けの震度表示器と接続することで、免震ピッドなどアクセス困難な場所に設置された地震計の震度情報も確認できる機能や複数台の連動機能もあり、地震時の建物における階層別の揺れ観測に最適。加速度値を見ることで、地震後の建物のダメージを予測することもできる。
 無電圧接点3ポートを有しているため、工場での地震時生産設備管理にも使用が可能だ。
 サイズは120mm×170mm×50mmのボックスタイプで、水平方向だけでなく上下の震度情報も同時に計れる機器であり、価格は25万円。

3SOFTジャパン 自動防災システムへの連動も可能 音声などの事前警告で被害予防
 3SOFTジャパン(東京都港区)は、緊急地震速報「デジタルなまず」を販売している。
 同システムは、家庭や事務室などに設置し、地震発生時に横揺れが到達する前に、予想の強さと衝撃はの到達時間を音声とLCDで警告することで、被害を最小限に抑え、サーバから受信した震源地データ、位置や地盤情報を元に、現在の位置における地震の予想強さと到達時間を推定計算し、事前に警告するもの。
 ホームネットワーク、自動防災システムなどへの連動が可能であるため、玄関ドアの強制オープン、ガス・電気の自動遮断、非常灯の点灯などによって2次被害も予防する。地震災害予防システムとして現在注目されている。
 回転式のハードディスクを使用してないので、回転不良を防止、ウインドウズなどに依存せず、自社専用のOS端末を使用している。
 システムの価格は約10万円であり、サーバー利用料が別途4000円程度。現在、気象庁からの先行使用機器であり、使用箇所が限られているが来年、春・夏ごろに自由使用になる予定だ。




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