不動産トピックス
ビルオーナーのための建築・設備最新情報
2006.12.04 17:22
東急コミュニティー 業務改善・効率化に向けたアイデア発表 コスト意識の高さが浮き彫りに
東急コミュニティー(東京都世田谷区)は、11月17日に、マンションおよびビルの管理業務における、技術提案力の強化を目的に「第16回技術研究発表全国大会」を、東京都目黒区にある同社の技術センター内にて開催した。
同大会は、同社の技術員が日常業務を遂行する上での「改善」・「効率化」に向けたアイデアの発表や、実際にユーザーに提案した事例を紹介し、その内容を共有化させる場として毎年開催されているもの。
また、技術的な内容に加え、発表内容、発表方法、提案力などプレゼンテーション能力も採点・評価することで、顧客対応力と技術社員のモチベーションの向上にも結び付けている。
昨年から同大会は「管理技術部門」と、「再生・改修技術部門」の2部門に分けて発表しているが、今年は全般にわたって「作業・工事の予防保全に関するもの」や、「作業の安全性を確保するアイデア」などの発表が目立った。
また、アイデアや事例紹介にあわせ、ほとんどの発表で、そのコスト対策についても紹介されるなど、昨今のユーザーにおけるコスト意識の高さが象徴される内容となった。
同社では、この大会をはじめ、毎年7月には技術系社員の技能研鑽とサービスマナー向上を目的とした「技能競技会」を定期的に開催しており、これらの大会を通じて、技術力向上だけではなく、お客のニーズに対するサービス提供力の強化を図っていきたいという。なお、今年の管理技術部門における金賞は「LED表示灯の改善提案」という研究発表が受賞している。
これは、非常警報表示灯の電球をLED化し、鋼管作業の省力化を図るという技術である。
奥村組 解析プログラム「FEAST」を開発 建設工事における地盤環境評価ソフト
奥村組(大阪市阿倍野区)は、建設工事に伴う地盤変状や隣接構造物への影響、地下水の水位や水質変化などについて、環境影響評価の観点から定量的に評価できる解析プログラム「FEAST」を開発した。
このプログラムは三次元有限要素法によるもので、同社が建設工事を通じて長年培った「建設サイトに密着した解析技術や施工ノウハウ」に基づいて開発されたもの。さまざまな施工状況をとられる数値解析モデルが組み込まれ、多くの検討実績を有している。土木構造物の建設では、周辺地盤環境への配慮が近年特に重要な問題として注目されている。
地盤環境への配慮とは、地盤掘削に伴う周辺地盤の沈下や構造物建設に伴う地下水環境の変化などを定量的に評価し、適切な対策を講じることである。しかし現時点では、このような周辺地盤環境に対する評価方法について標準化されたものがなく、特に多種多様な建設工事の施工条件に適切に反映させることに課題があり、多方面で検討が進められている。
同社は今後、自社建設工事において適切な地盤環境影響評価を引き続き実施するとともに、地盤環境評価における客観的評価指標の明確化に寄与すべく、開発プログラムを関連機関、企業、技術者に低価格で提供することとした。提供価格は50万円(税抜)。
三菱電機ビルテクノサービス 手の引き込まれ防止を目的とした警報装置 乗場とかごの双方に赤外線センサを設置
三菱電機ビルテクノサービス(東京都千代田区)は、二段階のアナウンスにより、引き込まれを注意喚起する、三菱エレベーター引き込まれ警報装置「ドア・アラームW(ダブル)」を12月1日から販売できる。
エレベーターのドアに寄りかかったり、手をついたままドアが開くと、すき間に手が引き込まれる恐れがある。特に、子供の手は小さくて柔らかいため誤って引き込まれないよう、十分な注意が必要だ。
「ドア・アラームW」は、エレベーターの乗場側・かご側のドア付近に複数の赤外線ビームを張り巡らせたセンサーを設置し、赤外線ビームがさえぎられた場合に、人の手などの体の一部がドアに触れている可能性があると判断する。
エレベーターのドアが開く前にセンサーが感知状態になると、「ドアが開きます」という自動アナウンスを行い、ドアが開くことを知らせる。
さらに、ドアが開く直前になってもセンサー感知状態が継続している場合は、ドアの開き始めを遅らせて、「ドアから離れてください」「ドアが開きます」というアナウンスを行うとともに、ブザーを鳴らし、ドアから離れるよう強く警告することで、不注意による引き込まれを防ぐ。
マンション・流通施設を中心に、初年度1500セット(かご1箇所+乗場1箇所の標準セット)の販売を見込んでいる。
東邦レオ 屋上の緑化を演出する 植栽桝を低価格で提供
東邦レオ(大阪市中央区)は、両面化粧による意匠性と、低コスト性を兼ね備えた庭園緑化・薄層緑化用土留めパネル「プライムウォールス」を12月6日から発売する。
屋上緑化を行う場合、土壌が周囲に流出しないように土留めのための「壁」が必要となる。これまでコンクリート打設による「壁」や石組み、アルミといった素材が主に活用されていたが、屋上緑化が広がりをみせる中、低コストで意匠性の高い資材が求められていた。
「プライムウォールボス」はセメント系加工品による屋上緑化専用土留めパネル。両面に化粧材が設置されているため、植物の美しさを損なわない特長を持つ。
1mの基本パネルと出隅・入隈パネルの組み合わせにより、自由な庭園の形を演出できる。施工も「プライムウォールボス」と下地やパネル同士を接着固定するだけの簡易施工を実現している。
仕様は土壌の厚みにあわせて高さが3種類(16cm、30cm、40cm)。
販売価格は基本タイプである高さ16cmの薄層緑化型タイプで4500円より(施工費用除く)。同社の同型土留めパネルに比べ、約70%の費用に抑えられる。
バリエーションは標準色となる「セシールオレンジ」のほか、受注生産色の「セシールベージュ」と渋柿色」の3種類。
同社では3年後に1億円の販売を目標としている。
シモン 非接触ICタグキーのオートロックシステム オートロック機能付で鍵のかけ忘れがない
バイオメトリクスの指紋認証システム関連機器の企画開発および販売を手がけるシモン(東京都中央区)は、セキュリティ強化を図るビル・マンションの玄関ドア向けに、合鍵を作られる心配のない非接触ICタグキーによる玄関鍵オートロックシステム「デジタルロック本錠タイプ」「デジタルロック本錠リモコン付タイプ」「デジタルロック補助錠タイプ」の3機種を平成18年12月1日から発売した。
ICチップ技術のタグキーの特長として、万が一タグキーを紛失した場合、機器の設定を変更すれば、紛失したタグキーを使えなくすることで、合鍵を作られることもなく、セキュリティのアップが図れるという点がある。さらに、通常のカギのようにシリンダーごと交換する必要がなく、安全かつ経済的である。
3機種共通の特徴として、非接触のICタグを本体にかざすだけで解錠が可能なうえ、ICタグを置き忘れて外出した場合には暗証番号を入力することで、ICタグなしでも解錠できる。また、ICタグは20個まで登録可能。
登録されていないICタグや間違った暗証番号を3回連続して操作すると、警告音が10秒鳴り、1分間使用できなくなる「いたずら防止機能」と、施錠している状態で正規の解錠方法以外でドアを開くと、5分間警報音が鳴る防犯機能を持っている。
長谷工コーポレーション コンクリートの合理的な養生方法確立 短い養生期間で建物の品質を確保
長谷工コーポレーション(東京都港区)をはじめとするゼネコン10社で構成する研究会は、近年、建築工事への使用例が増加している中庸熱ポルトランドセメントや、低熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートの合理的な養生方法を確立した。
各種実験を通じ、普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントと同じく、強度10/㎟まで湿潤養生を継続実施した場合、その後の強度は順調に発現し、また、所要の耐久性を確保できることを確認したという。
これにより、コンクリートのひび割れ抑制に効果の高い、中庸熱ポルトランドセメントなどを使用した場合でも、普通ポルトランドセメントと同じ工期を実現することが可能だ。
今後は同研究会に参加した各社が、今回得られたデータを有効に活用するとともに、日本建築学会への提案を行う予定である。