不動産トピックス

クローズアップ 給水タンク編

2007.01.15 17:17

 東京都水道局は、貯水槽水道のオフィスビル所有者などに直結給水方式への切り替えを薦めている。省スペースで水質の劣化が少ないといった点をその理由としているが、給水タンクの設置にもまた重要な機能と利点が存在している。それらの利点を各社の製品を通して紹介していこう。

森松工業 高い耐久性と水質保持力全溶接構造で水密性確保 タンクビルや研究施設住宅にも提供
 森松工業(岐阜県本巣市)が開発・販売を行っている『ステンレス水槽パネルタンク』は、その名称の通り全面にステンレス素材を使用しており、業界に先駆けて1970年よりビルや住宅、研究施設などに提供している。6種類のパネルユニットを組み合わせ溶接するため、小型から大型、多角形や階段型など、規模や設置場所に合わせた設計が可能となっている。
 給水タンクにステンレスを使用することの大きな利点は、経年劣化が少なく初期の強度をそのまま維持できる耐久性、そして光を完全に遮断するためタンク内に藻が発生することがなく、全溶接構造のため水密性が確保できることにより実現する高い水質保持能力があるということだ。
 唯一の難問であった「滅菌用塩素によるサビ」も、水槽内の気相部(空気が接する部分)に耐海水用ステンレス鋼を使用することで克服している。
 「当社で同商品を発売して約35年経ちますが、その間建物の建て替えによる破棄以外では継続して使用できています。建造物の耐用年数が50年ですが、その年数に対応可能な耐久性を供えていると自負しております」(足立氏)
 ただ、設置費用に関してはFRP素材のものより10%から30%高めとのことだ。
メンテナンスや清掃の面でも、ステンレス鋼の特徴である平滑さにより、スポンジタワシで拭き取る程度で表面の汚れを落とせる容易さが魅力である。

三菱樹脂 カスタマーサービスに自信 ニーズに合わせて選択100%リサイクル可能
 三菱樹脂(東京都台東区)はFRP製・ステンレス製双方の素材での新耐震設計パネル型給水タンク『ヒシタンク』の開発・販売を行っている。組み立てにボルト締結式を採用しており、その理由として「将来的に不要になった際、リユースが可能となるからです」と平田氏は説明する。ステンレス製給水タンクの場合、塩素によるサビを防止するため気相部分には液相部分と異なる素材・高耐食使用のステンレス鋼材を使用しているが、ボルト締結式であれば、解体の際に化学成分ごとの分別が容易となり、ステンレスパネルの100%リサイクルが可能となる。
 FRP製パネル型給水タンクも強度に優れており、解体後にはセメント原燃料への資源リサイクルが可能。耐震基準や設計仕様の見直しは、定期的にJWTA日本給水タンク工業会で行われている。また、地震災害に備えた自動感知による緊急遮断弁「シャ断Q」も開発しており、これはパネル型水槽のみではなく一体型水槽への取り付けも可能となっている。
 給水タンク設計・試行メーカー、メンテナンス部門は同社内にあり、責任施工として現地加工しタンクを組むので、パネルの搬入や組立て施工期間の短縮、またリフォーム時などには特に利便性が期待できる。
「給水タンクという製品自体は殆ど完成されており、他社との差別化を計るのは難しいのですが、当社ではお客様のニーズにあわせた幅広い商品、そして総合メーカーとして信頼のおけるカスタマーサービスのご提供という点においても自信を持っております」(平田氏)

レッカーで吊上げ不可でも現場組み立てできるタンク フッ素樹脂塗装したステンレスタンク
 佐山製作所(東京都足立区)が開発・販売する『ステンレスパネルタンク』シリーズには、非粘着性、耐食性、耐薬品性、耐摩耗性などに優れたフッ素樹脂塗装が施されている。水槽外壁に汚れやサビが付着することを防ぎ、また、水槽内面を清潔な状態に保つ。水槽内面は素材に対して高い密着性を持つ抗菌剤入りフッ素塗料を使用されている。水アカやヌメリ・サビ・腐食の発生を抑制するため衛生面に優れたきれいな水を持続して供給することが可能であるという。
 新耐震基準に適合する強度を持ち、蓄熱層や保冷水槽など飲料水以外にも使用可能。タンクのサイズも自在に変更できる。また、ボルト締結式による現場組立が標準仕様であるため、水槽設置場所までの搬入経路が狭い場合でも容易に搬入でき、レッカーなどで屋上に吊り上げる必要はない。これによって施工期間が大幅に短縮できるという。
 「当社はメーカーでありながら、設計・施工からメンテナンスまで、水周りに関することなら全て自社で対応可能です。リニューアルなど、施工時間が限られている現場や、特殊な条件で、通常のメーカーでは対応できない箇所にも、柔軟に対応することが可能です」(佐藤氏)
 なお、同社では給水ポンプの製造・販売・施工も行っている。他にも、配管やトイレのリニューアルおよび故障の解消など水まわりに関することなら、どのようなことにも対応することが可能となっている。

ブリヂストン 様々な規模や形に対応 0・5メートル角FRPパネル組立式で設置容易
 ブリヂストン(東京都港区)が開発・販売を行っている、組み立て式FRPパネル水槽『スーパーウォータータンク』の大きな特徴は、新耐震適合品として耐震性に優れたパネル設計であることと、パネル間にシーリング材を挟みこむことによって止水性を高めている点である。FRPとは、繊維と樹脂を用いてプラスチックを補強した、軽量で強度に大変優れるという特性を持つ素材。セメントキルンにおける源燃材料としてマテリアルリサイクルができ、環境保護の観点からも優れている。
 同製品は0・5メートル角のFRP製パネルを組み立てる方式により設置が容易で、大小様々なサイズに対応できる。また規模によっては長方形に限らずL字型などの変形で設定することも可能。FRP製給水タンクの設計耐用年数は15年となっている減価償却の関係上、給水タンクはFRP製でもステンレス製でも15年の耐用年数となっている。
 また、同社が提供している給水タンク備品『スーパーしゃだん弁』は、緊急時にタンク内の水の流出を防ぐ自動装置であり、地震発生時には揺れを自動感知し給水弁を遮断する。配管の破損等による水の流出を防ぐというものだ。
 給水タンクの「水を貯める」という重要な機能を保持、震災時の飲料水・生活用水確保という点からも、遮断弁は万が一に備えた必要不可欠の装備と言えよう。




週刊不動産経営編集部  YouTube